ShopifyでBOPIS(店舗受取)を導入するには?在庫と物流の設計を解説
オンラインで注文した商品を実店舗で受け取るBOPIS(ボピス)は、送料をかけずに好きなタイミングで受け取れる仕組みとして広がっています。Shopifyにも標準で店舗受取の機能があり、設定そのものは難しくありません。ただし、導入がうまくいくかどうかは機能の有無では決まりません。店舗とECの在庫をどう配分し、誰がどう補充するかという設計で決まります。
この記事では、Shopifyの店舗受取の仕組みと2026年時点の最新機能を押さえたうえで、在庫と物流の設計まで解説します。読み終えるころには、自社で何から決めるべきかが見えてくるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
目次
BOPIS(ボピス)とは?仕組みとよく似たサービスとの違い

この章では、BOPISの読み方や語源と、よく混同されるClick&Collectなど類似サービスとの関係を先に整理します。用語をそろえたうえで、導入時に問題になる在庫と物流に関して解説していきます。
BOPISの仕組みと注文から受け取りまでの流れ
BOPISとは、「Buy Online, Pick-up In Store」の頭文字です。読み方は「ボピス」が一般的で、「ビーオーピーアイエス」と読む例もあります。オンラインで注文と決済まで済ませ、商品は実店舗で受け取ります。Shopify日本公式ブログによると、国内では「店舗受け取り」「店頭受け取り」「ストアピックアップ」と呼ばれることもあります。
Shopifyでの流れは次の5ステップです。
- ECで注文と決済を行なう
- 店舗で商品を確保する(必要なら受取ロケーションへ転送する)
- 受取準備完了としてマークし、通知メールを送る
- 顧客が来店して商品を受け取る
- 受取済みとしてマークし、フルフィルメントを完了する
とくに③の通知を出すタイミングと、⑤の受け渡し後の処理を誰が担当するかで、運用の質が決まります。
Click&Collect・店舗取り置き・カーブサイドピックアップとの関係
Click&Collectは、ロッカーや集荷拠点も含む受け取り全般の総称として説明されることが多い言葉です。BOPISはそのうち、店舗内での受け取りを指す呼び方として整理されることが多いです。店舗取り置きは、注文時ではなく来店時に店頭で決済する点が異なります。カーブサイドピックアップは、車から降りずに受け取る形式で、ついで買いは起きにくいとされます。
呼び名よりも、事前決済かどうかで在庫の押さえ方とシステム要件が変わる点に注目しましょう。
| 用語 | 受け取り場所 | 決済のタイミング | 注文時の在庫引き当て | 店内での追加購入 |
| BOPIS | 実店舗の店内 | 注文時(事前決済) | 必要 | 起きやすい |
| Click & Collect | 実店舗・ロッカー・集荷拠点など自宅以外全般 | 注文時(事前決済) | 必要 | 受け取り場所による |
| 店舗取り置き | 実店舗の店内 | 来店時(店頭決済) | 取り置き扱い(売上は未確定) | 起きやすい |
| カーブサイドピックアップ | 店舗の駐車場・軒先 | 注文時(事前決済) | 必要 | 起きにくい |
呼称の使い分けは媒体によって定義が異なるため、この記事では一般的な整理を示しています。
日本でBOPISが広がっている背景
国内の代表例は、しまむらです。2020年10月にオンラインストアを開設し、EC注文の店舗受取比率は開設初年度に約9割でした。その後も8割を超える水準が続き、2026年3-5月期(2027年2月期第1四半期)は88.3%です。
同社はEC事業を「ローコストEC」と位置づけています。ECセンターを既存の東松山商品センターに併設し、実店舗向けの物流・配送網を使って店舗へ商品を送る構造です。つまり、国内でBOPISがうまく機能している事例は、宅配網ではなく、自社の店舗配送網を土台にしています。中小事業者にそのまま当てはまるとは限りません。
背景として市場全体も見ておくと、経済産業省の調査では、2024年のBtoC-EC市場規模は26.1兆円、物販系のEC化率は9.8%でした。ECが広がるなかで、送料をかけずに受け取れるBOPISにも関心が集まっています。
*参考 2021年2月期期末決算及び中期経営計画説明会
*参考 2026年2月期 株式会社しまむら 第1四半期決算説明会
*参考 しまむらのEC事業が好調、2026年3-5月期(1Q)EC売上は3割増の53億円、店舗受取比率は88% | ネットショップ担当者フォーラム
*参考 しまむら、3年後のEC売上高120億円計画 店舗送客でシナジー – WWDJAPAN
*参考 令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
ShopifyでBOPISを実現する仕組みと2026年の最新動向

この章では、Shopifyの店舗受取機能でできる範囲と、2026年6月のアップデートで変わった点を解説します。プラン要件や送料の扱いなど、導入前に確認しないとトラブルにつながる仕様も見ていきましょう。
Shopifyの「店舗受取(ローカルピックアップ)」でできること
Shopifyでは、チェックアウトの配達方法を「配送」と「受取」から選べます。設定は、管理画面の「設定」>「配送と配達」>「その他の配達方法」>「店舗受取」から、受取を有効にするロケーションを選んで行ないます。ロケーションごとに有効化する仕組みで、1店舗だけ設定しても他店舗には反映されません。

デフォルトでは受取ロケーションに注文全体の在庫があるときだけ選べます。複数ロケーションなら在庫転送も設定でき、在庫があってもっとも近い拠点が優先されます。
Shopifyでは「店舗受取」と「受取ポイント」は別の機能です。配送と受取を1つの注文にまとめるチェックアウトでは、受取ポイントとローカルデリバリーは使えません。
受取店舗は、顧客がチェックアウトで選んだ時点で固定され、あとから変更できません。ただし、商品を出荷する前なら、在庫を引き当てる店舗は変えられます。管理画面で注文を開き、「ロケーションを変更」から切り替えます。たとえば、受取店舗に在庫がなくなったとき、別の拠点の在庫に切り替えられます。
なお、店舗受取の注文には「処理中」というステータスを付けられません。受取準備ができたら「受取準備完了」、受け渡したら「受取済み」とマークします。
*参考 オンライン注文の店舗受取を設定する
*参考 Shopify Checkout で1つの注文に配送と受取をまとめる
*参考 自身の注文を個別にフルフィルメントする
Editions 26年春で追加された受取・在庫まわりの機能
Shopifyは2026年6月発表の「Editions Spring ’26」で、受取と在庫まわりの機能を追加しました。ここでは、店舗受取に関わる3点を紹介します。
①1つの注文に、配送と店舗受取を混在できる
お客様は1回のチェックアウトで、一部の商品を自宅へ配送、残りを店舗で受け取る、と選べるようになります。
- 提供状況
- Shopify PlusとEnterpriseの組織に、「機能のテストドライブ」として2026年6月から提供されています。2027年7月1日にPlus全組織へリリースされる予定で、テスト期間の終了後は自動で有効になります。
- 使えるかの確認
- 自社で使えるかは、管理画面の「設定」>「機能のテストドライブ」で確認するのが確実です。
- 受取ロケーションは1つだけ
- 1つの注文で選べる受取先は1か所で、複数の店舗や受取日には分けられません。
- 送料に注意
- 送料は既存の配送プロファイルに従います。既定では、一部が受取であっても、注文合計に基づく一定の送料がかかります。見直さないと、店舗受取の商品を含むのに送料が乗る状態になります。
②他店舗での受取注文を、POSから作成できる
店頭で在庫が切れていても、別の店舗で受け取れる注文を、その場で作成できます。接客中に「ほかの店舗にありますので、そちらで受け取れます」と案内でき、販売の機会を逃しません。
利用にはPOS Proが必要です。あわせて、次の条件があります。
- 受取先のロケーションで、店舗受取を有効にしている
- 同一国内の在庫が対象
- スタッフに、受取注文を扱う権限がある
③発注書から転送を作成し、POSで入荷を受け入れられる
発注書(仕入れ先への注文)から、店舗への在庫転送をそのまま作成できます。届いた商品は、店舗のPOSでバーコードをスキャンして受け入れられ、管理画面に戻る手間がありません
標準機能・アプリ・Plusのカスタムアプリという3つの選択肢
店舗受取機能は、運用の細かさに応じて次の3つから選びます。
- 標準機能
-
向いている運用:準備ができたら来店してもらう、シンプルな運用
できること:
・受取ロケーションの設定
・受取予定日の表示
・在庫転送
・受取準備完了の通知 - アプリ(App Store)
-
向いている運用:受取日時を細かく管理したい運用
標準機能に足せること:
・日時の細かい指定
・時間帯ごとの受付上限
・定休日の除外 - Plusのカスタムアプリ
-
向いている運用:受取の条件を自社ロジックで制御したい運用
できること:
・実店舗受け取り機能そのものをカスタムアプリに置き換える
・受取ロケーションの並び順や表示条件を制御する利用条件:Shopify Plusプラン
飲食や生菓子、イベント商材のように、受取日時が売上と製造計画に直結する業種は、導入前にどの層で実現するかを決めておきます。
| 項目 | 標準機能 | アプリ | Plusのカスタムアプリ |
| 受取ロケーションの有効化 | ○(ロケーションごとに個別設定) | ○ | ○ |
| 受取予定日(処理時間)の表示 | ○ | ○ | ○ |
| 在庫転送の自動設定 | ○ | ○ | ○ |
| 転送が必要な注文に別の処理時間 | ○ | ○ | ○ |
| 転送の除外 | △(コレクション単位のみ。個別商品は不可) | ○ | ○ |
| 受取準備完了の通知 | ○(ロケーション別の受取手順を設定可) | ○ | ○ |
| 受取日時の指定・時間帯ごとの受付上限 | ×(該当する設定項目なし) | ○ | ○ |
| 受取ロジックそのものの制御 | × | × | ○(標準機能を置き換え) |
| 必要なプラン | 全プラン | 全プラン+アプリ費用 | Shopify Plus |
アプリとカスタムアプリの対応範囲は、製品や実装によって異なります。
導入の成否を分けるのは「どの拠点に在庫を置くか」

BOPISで最初に起きるトラブルは、機能の設定ミスではなく、在庫のズレによる欠品です。ここでは店舗とECで在庫をどう分けるか、拠点ごとの配分をどう決めるかを、具体的な手順に落として解説します。
店舗在庫とEC在庫を共有すると欠品が起きる
BOPISで最初につまずきやすいのが、店頭とECで同じ在庫を使うことによる欠品です。
たとえば、在庫が1点だけ残っている商品が、ECで注文されたとします。その数分後、店頭のレジで同じ商品が売れてしまうと、受取注文には応えられません。お客様は「商品が用意できた」という連絡を受けて来店したのに、渡せる商品がないことになります。これは、BOPISでもっとも避けたい失敗です。
とくに起きやすいのは、次のような商品です。
- 一点ものの商品
- サイズやカラーの展開が多い商品
- 人気の商品
この問題は、在庫管理システムを入れるだけでは解決しません。原因はシステムの有無ではなく、どの在庫をECに公開するかという配分のルールがないことだからです。
そこで、導入前に次の2つを決めておきます。
- ECに公開する在庫の範囲を決める
店頭にある全数ではなく、ECに出す分と店頭用に残す分を分けます - 商品ごとに、店頭用に残す数を変える
回転の速い商品ほど、店頭用に多めに残します
具体的な在庫の分け方は、次の「安全在庫を分けておく」で解説します。
安全在庫を分けておく
実在庫をそのままECに公開せず、店頭で販売する分をあらかじめ確保しておきます。Shopifyの在庫は「手持ち」「販売可能」「引当済み」「販売不可」「入荷予定」に分類されます。
販売不可には、破損や品質管理、安全在庫などで保留された数量が含まれます。在庫数量を調整すると、販売可能な在庫を販売不可へ移せます。これが店頭販売分を確保する操作です。
安全在庫を何点残すかは、商品の回転率と店舗の販売頻度で変わります。回転の速い商品ほど多めに残します。閉店後に在庫を更新する運用も選択肢になります。
拠点ごとの在庫配分の決め方
受取注文の在庫をどこに置くかは、大きく3つのパターンがあり、商品の特徴に合わせて使い分けます。
- ①受取店舗の在庫だけで完結させる方法
- 受取までの日数が最短です。ただし、その店舗の在庫が切れると欠品になりやすいため、回転の速い定番商品に向いています。
- ②他拠点から転送して受け渡す方法
- 品ぞろえを確保しやすい反面、転送の分だけ受取までの日数が延びます。単価が高く、回転の遅い商品に向いています。
- ③店舗受取専用の在庫を別に持つ方法
- 欠品しにくく確実です。ただし、在庫が動かず寝てしまうため、予約商材や催事商品に向いています。
なお、どの拠点が商品を出すかは、注文の種類によって決まり方が異なります。配送注文は、Shopifyの注文ルーティングで、ルールを組み合わせてロケーションの優先順位を決めます。一方、受取注文は、受取店舗をお客様が選ぶため、出荷元を選ぶのではなく、在庫転送の設定で受取店舗に在庫を集めます。
| 項目 | ①受取店舗の在庫だけ | ②他拠点から転送 | ③受取専用の在庫を別に持つ |
| 受取までの日数 | 最短 | 転送分だけ延びる | 最短 |
| 欠品リスク | 高い | 低い | 最も低い |
| 在庫の負担 | 追加なし | 拠点間の輸送コストが発生 | 在庫が寝る |
| 向いている商品 | 回転の速い定番品 | 単価が高く回転の遅い商品 | 予約商材・催事商品 |
| Shopifyでの設定 | 在庫転送を設定しない | 在庫転送+転送時の別処理時間を設定 | 店頭分を「販売不可」に移して確保 |
在庫転送に頼りきる運用の限界
他拠点から在庫を転送すれば、受取店舗に在庫がなくても注文に応えられます。ただし、転送が必要な注文は、その分だけ受取までの日数が延びます。
この日数のズレを放っておくと、お客様に伝えた受取予定日を守れなくなります。Shopifyでは、転送が必要な注文にだけ、別の処理時間を設定できます。転送が不要な注文と分けて、受取予定日を表示しましょう。
もう1つの落とし穴が、コストです。転送が増えるほど、拠点間の輸送費と作業の手間も増えていきます。お客様への送料をなくすために始めたはずが、気づけば社内の輸送費に置き換わっていた、ということも起こります。
転送で穴埋めを続ける前に、そもそもの在庫の置き場所を見直すほうが効果的です。
倉庫・物流側のオペレーションはこう変わる

BOPISは店舗の話に見えて、実際は倉庫と配送のオペレーションを組み替える施策です。店舗を配送の終点にすると、倉庫側に補充の設計と締切時間が新たに生まれます。その中身を、補充・商材・コード体系・委託先の順に整理します。
店舗補充の頻度と締切時間を先に決める
BOPISを始めると、倉庫から店舗への補充は「品出しのための補充」から「受取注文に間に合わせるための補充」に変わります。週次の定期便しか走っていない状態で受取注文を受けると、受取予定日を守れません。
先に決めておくことは以下の3つです。
- 補充の頻度(何曜日に週何便走らせるか)
- 何時までの注文をその便に乗せるかという締切時間
- 締切を過ぎた注文の受取予定日をどう表示するか
この3つが決まっていないと、チェックアウトに出す受取予定時間の根拠がなくなります。まず便のスケジュールをリストにして、そこから受取予定日を逆算します。
倉庫直送と店舗経由の使い分け
すべての商品を、店舗経由にする必要はありません。倉庫から直接お届けする商品と、店舗でお渡しする商品を分けて考えると、運用がぐっと楽になります。
とくに、大型の商品、温度管理が欠かせない商品、高単価の商品は、店舗で預かれる環境かどうかを、先に確かめておくと安心です。
たとえば冷蔵・冷凍の商品は、店舗に保管できる設備がなければ、受取の対象から外しておきましょう。定温で管理できる拠点があるかどうかで、扱える商品の幅も変わってきます。
また、店舗の保管スペースには限りがあります。受取が重なる時期は、お渡しできる数が、そのままスペースの上限になります。そのため、「売りたい商品」ではなく、「その店舗で安全に預かり、確実にお渡しできる商品」を基準に選ぶのがおすすめです。
| 判断軸 | 向く | 向かない | 判断のポイント |
| 温度帯 | 常温 | 冷蔵・冷凍 | 受取店舗に定温・冷蔵の設備があるか |
| サイズ・重量 | 手で持ち帰れる範囲 | 大型・長尺・高重量 | 顧客が自力で持ち帰れるか |
| 単価 | 中〜高単価 | 極端な低単価 | 来店コストを上回る動機があるか |
| 消費・使用期限 | 期限なし/長期 | 期限が短い商品 | 受取期限内に品質を保てるか |
| 店舗での保管 | 小口・積み重ね可 | 型崩れする・吊り下げが必要 | バックヤードの容量と什器 |
商品マスター・SKU・棚番の統一が前提になる
ECと店舗で、商品コードやJANコード、SKUの付け方がバラバラだと、在庫をつなげること自体ができません。SKUとは、色やサイズまで分けた、商品の管理単位のことです。
店舗では、受取注文の商品を「どの棚に置いたか」も管理しておきましょう。置き場所が決まっていないと、お渡しのたびに商品を探す羽目になってしまいます。棚番とは、保管場所を示す番号のことです。
まずは、次のような簡単な形から始められます。注文番号、お客様の名前、商品名、数量、受取期限をラベルに書いて商品に貼り、置き場所を決めておく方法です。
システムを入れる前に、コードのルールをそろえ、棚番を整えておくと、あとの運用がスムーズです。
実店舗がなくても同じ設計問題が起きる
ここまでの話は、実店舗がない事業者の方にも当てはまります。複数の倉庫を運用しているなら、「どの倉庫に、どれだけ在庫を置いて、どこから出荷するか」を決める作業は、BOPISの設計と同じ考え方です。Shopifyの注文ルーティングや在庫転送も、倉庫どうしで使えます。
また、外部の物流事業者(3PL)に出荷を任せている場合は、あらかじめ確認しておくと安心です。Shopifyの公式ヘルプでも、フルフィルメントアプリやOMSアプリを使うときは、3PLが店舗受取の商品を誤って配送しないよう、配達方法を確認するように案内しています。
委託先のシステムが、受取と配送をきちんと区別できるかどうかも、確かめておきましょう。
受け取り後のルール設計(期限・キャンセル・店舗返品)

来店を待っていたのに、お客様が取りに来ない。BOPISでは、そんなことも起こります。そのとき困らないよう、「受取期限」「キャンセル」「返品」の3つを、通知メールとあわせて決めておきましょう。
受け取り期限を決めないと在庫が戻せない
受取期限を決めていないと、店舗は商品をいつまで取り置けばよいかわからず、販売できる在庫に戻せなくなります。期限は商品の種類によって変えましょう。日配品や生花は当日限り、そのほかは準備完了の通知から数日以内が目安です。
たとえば「3〜7日」のように決めます(数字は一例です)。期限を過ぎたときの扱いも、キャンセル、返金、在庫に戻すのどれにするか、文書にしておくと現場で迷いません。お客様には、通知メールで期限をお伝えしましょう。期限が近い注文は、タグを付けたり管理表で並べたりして、見つけやすくしておきましょう。
店舗での返品(BORIS)を受けるときの在庫処理
受け取りのときに返品や交換に応じられるのは、BOPISの利点です。オンラインで買った商品を店舗で返品する形式は、BORIS(Buy Online, Return In Store)と呼ばれます。返された商品をどの在庫に戻すかは、先に決めておきましょう。
店舗の販売在庫に戻すか、倉庫へ返送するかで、在庫数の見え方が変わります。返品を受ける店舗と受けない店舗が混ざると、お客様が戸惑うため、全店で対応をそろえましょう。
通知メールに必ず入れる項目
受取準備完了の通知は、お客様への「来店してOK」の合図です。商品をお渡しできる状態になってから送りましょう。メールには、店舗名や住所、時間帯、注文番号の提示が必要なこと、受取期限、問い合わせ先を入れておくと親切です。
注文完了メールにも、準備完了の連絡を待ってからの来店をお願いする一文があると安心です。なお、ロケーションごとの受取手順は、通知テンプレートより優先されます。
とくに気をつけたいのが、一括操作です。一括フルフィルメントで受取注文を処理すると、「受取済み」になり、準備完了の通知は送られません。受取注文は、1件ずつ処理してください。
*参考 自身の注文を一括でフルフィルメントする
*参考 オンライン注文の店舗受取を設定する
BOPISの効果をどう測るか

BOPISの効果は、送料の削減だけでは測りきれません。売上や体験、運用まで広く見ていくと、本当の効果が見えてきます。ここでは、追いたい指標と、国内で公表されている実測値を、順に見ていきましょう。
見るべき指標
見るべき指標は、「売上」「体験」「運用」3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 売上側
-
・BOPIS経由の注文構成比:全注文のうち、受取注文が占める割合です
・受取時の追加購入率:受け渡し時の会計と受取注文を紐づけて記録しないと、数字が取れません
・受取利用者のリピート率 - 体験側
-
・在庫一致率:EC上の表示在庫と、実際の在庫が合っている割合です。たとえば週1回、売れ筋の商品を数点抜き出して棚卸しし、表示在庫と突き合わせます
・受取までの日数 - 運用側
-
・1注文あたりの準備時間
・受取期限切れの発生件数
なかでも最優先で見たいのは、在庫一致率です。ここが低いままだと、ほかの指標を改善しても、お客様の体験が崩れてしまいます。
国内の実測値(しまむらの公表データ)
国内の代表的な事例といえば、株式会社しまむらです。2022年2月期の決算説明会資料によると、EC注文商品の約9割が店舗受取で、受け取ったお客様の約5割が、店舗で別の商品も合わせて購入しています。直近の2026年3~5月期も、店舗受取比率は88.3%、EC売上は前年同期比30.0%増の53億円と報じられています。
合わせ買いの数字は、海外調査でよく見る「利用者の◯%が追加購入」とは、数え方が違う可能性があります。そのため、単純には比べず、国内の数字を目安にしましょう。
また、同社のEC会員は首都圏と名古屋・大阪の大都市圏で6割強を占めます。BOPISのデータは、どこに拠点を置くかを考える材料にもなります。
在庫基盤は段階的にしか整わない
しまむらの同じ資料(2022年2月期)には、リアルタイム在庫を3年かけて整えていくロードマップが載っています。その中身を、実績と計画に分けて見てみましょう。
- 実績(2021年度)
- リアルタイム在庫を稼働させ、社内での活用を始めました。お客様の注文を受けるときに、店舗どうしで連絡を取り合う必要がなくなっています
- 計画
- 次の段階として示されていたのは、お客様が店頭のアプリで在庫を検索できるようにすることです。その先には、ECで注文する前に店舗の在庫を確認できるようにし、ECセンターに在庫がないときは、店舗間で取り寄せることも描かれていました
注目したいのは、いきなりECで在庫を見せるのではなく、「社内」から「店頭」、そして「EC」へと、順番に広げていく計画だったことです。
これは、これからBOPISを始める場合にも当てはまります。受取機能をオンにしても、在庫が正しく把握できていなければ、お客様に在庫を見せることはできません。まず社内で在庫を正確につかみ、次に店頭、最後にECへと、段階を踏んで整えていくのが近道です。
まとめ

BOPISは、送料削減というより、ECと店舗、複数の倉庫の在庫をひとつにする取り組みです。Shopifyの設定は難しくありませんが、成否を分けるのは、在庫の配分、補充の頻度と締切、受取後のルール設計です。
2026年6月の更新で、Plus・Enterpriseでは配送と受取の混在、POS Proでは他店舗受取が使えるようになり、拠点をまたぐ設計はさらに大切になっています。設計の段階から、お気軽にご相談ください。
BOPIS(店舗受取)に関するよくある質問
Q. Shopifyの店舗受取は追加費用なしで使えますか?
A. Shopifyの契約プランに含まれる標準機能で、ヘルプ上、店舗受取に追加費用やプラン制限の記載はありません。ただし、日時指定や受付上限まで管理するなら、別料金のアプリを組み合わせます。受取ロジックの制御にはPlusのカスタムアプリがあります。
Q. 1つの注文で配送と店舗受取を混在できますか?
A. Shopify PlusとEnterpriseの組織でテストドライブとして利用でき、2027年7月1日にPlus全組織へリリース予定です。自社で使えるかは、 管理画面の「機能のテストドライブ」で確認します。
Q. 実店舗がなくてもBOPISに近いことはできますか?
A. 複数倉庫での在庫配分と拠点からの受け渡しという形で、設計の考え方は共通します。
Q. 受け取り店舗を後から変更できますか?
A. 顧客が選んだ受取ロケーションは変更できません。一方、受取注文が未処理の間は、管理画面の「ロケーションを変更」で在庫の引き当て元を手動で切り替えられます。変更依頼への対応ルールは事前に決めておきます。
Q. 冷蔵・冷凍の商品も店舗受取にできますか?
A. 保管設備と受取期限の設定が前提です。温度管理できる設備が店舗になければ、対象から外します。










