SNS運用マニュアルのつくり方|記入例つきテンプレートと5つの規定
企業の公式SNSを運用していると、投稿の書き方や画像選び、返信の仕方など、判断に迷う場面が増えていきます。担当者が交代するとアカウントの雰囲気が変わったり、引き継ぎが不十分で更新が途絶えたりすることも少なくありません。さらに、確認の仕組みがないと炎上や法令違反のリスクも高まります。
そこでこの記事では、投稿の品質を一定に保ち、安全にアカウントを運用するための「SNS運用マニュアル」のつくり方を解説します。
解説する内容は、マニュアルの作成方法と運用ルールに絞っています。記事内には記入例つきのテンプレートを用意しました。自社の運用に合わせて項目を書き換えれば、実用的なマニュアルが完成します。ぜひご活用ください。
SNS運用についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ過去の記事もお読みください。
目次
SNS運用マニュアルとは|ガイドライン・ポリシーとの違い

SNSを運用する際、マニュアルとガイドライン、ポリシーの違いが分かりにくく、迷う方もいるのではないでしょうか。それぞれの役割や対象者を整理しておかないと、運用の混乱につながることもあります。この章では、3つの文書の違いを解説します。
SNS運用マニュアルとは
SNS運用マニュアルとは、企業がSNSアカウントを運用するときに、担当者が迷わず動けるよう手順とルールをまとめた文書です。
「この人しか分からない」という状態を防ぎ、投稿の品質をそろえる役割があります。投稿のつくり方や承認の流れを書き出しておけば、現場の迷いが減り、誰が担当しても安定して運用できます。
ガイドライン・ソーシャルメディアポリシーとの違い
マニュアル、ガイドライン、ソーシャルメディアポリシーという言葉に、はっきりとした法令上の定義はありません。企業ごとに呼び方や使い方はさまざまですが、実務では以下のように使い分けられることが多いです。
- マニュアル:担当者が日々の業務で参照する手順書
- ガイドライン:社内で守るべき方針や注意点をまとめたもの
- ソーシャルメディアポリシー:社外へ公開する運用方針
社内向けと社外向けを分ける
社内向けマニュアルは、担当者が参照する非公開の手順書です。承認フローや緊急時の連絡網など、社外に出すべきでない情報も含むため、公開する文書とは分けて管理します。
一方、社外向けは、公式アカウントの運用方針としてユーザーへ公開します。どのような情報を発信し、コメントや問い合わせにどう対応するのかを示しておくと、ユーザーも安心してアカウントを利用できます。
総務省も公式SNSの運用方針を公開しており、実例として参考にできます。
なぜSNS運用マニュアルが必要か

マニュアルがない状態では、担当者ごとの判断で投稿が行なわれ、品質のバラつきやトラブルを招くことがあります。最悪の場合、企業の信用を失うことにもなりかねません。この章ではSNS運用マニュアルが必要な理由を、3つの角度から解説します。
属人化を防ぎ、担当者が変わっても続けられる
担当者が休職や異動、退職をした際、マニュアルがないとアカウントの運用が途絶えてしまいます。手順を文書化しておけば、他のメンバーが業務をスムーズに引き継ぎ、継続した発信を維持できます。
品質を一定に保つ
複数人で運用すると、投稿ごとにトーンや内容がばらついてしまいます。そこで、トーン&マナーなどの基準を明文化すると、誰が投稿してもアカウントの方向性を一定に揃えることができます。
公式アカウントは組織を代表するものと受け取られる
公式アカウントの投稿は、担当者個人の発言ではなく、企業や組織の発言として受け取られます。総務省も、公式アカウントを担当する場合は、通常のSNS利用よりいっそうの注意が必要だと呼びかけています。
たった一度の不用意な投稿が、企業全体の信用を左右することもあります。また、アカウントの管理が不十分で不正アクセスなどの被害に遭えば、ブランドイメージを大きく損なうおそれもあります。
だからこそ、投稿の内容も、アカウントの管理方法も、担当者任せにせず、マニュアルで明確に定めておくことが欠かせません。
マニュアルをつくる前に決めておくこと

実務で使えるマニュアルにするには、文章を書き始める前の準備が欠かせません。運用の目的や体制が決まっていないと、規定の中身を具体的に書けないためです。ここでは、事前に決めておきたい3つのポイントについて解説します。
目的(KGI)とKPIを決める
SNSを何のために運用するのかが決まっていないと、規定の内容を組み立てられません。目的によって、投稿の方向性や返信のしかたも変わってくるためです。たとえば、認知拡大が目的なら閲覧数を、購入が目的ならサイトへの流入数と購入数を見ていきます。
最終的なゴールであるKGIと、その達成度を測る中間指標のKPIを決めておくと、定期レポートで確認する数値がはっきりします。
ターゲットとアカウントコンセプトを整理する
誰に何を発信するかが曖昧だと、トーン&マナーを定められません。ターゲットの年齢や悩み、使うSNSによって、響く言葉づかいが変わるためです。
「誰に」「何を」「どう届けるか」と、アカウントの立ち位置を一言で表したコンセプトを明文化しましょう。アカウント基本方針にそのまま活用できます。
運用体制と役割分担を決める
誰が投稿をつくり、誰が確認するのかが決まっていないと、投稿前の確認手順を書いても現場では機能しません。一人で作成から投稿まで行なうと、ミスに気づく人がいないため、投稿をつくる人と承認する人は分けておくのがおすすめです。
まずは体制を整えてから、マニュアルの作成に進みましょう。
マニュアルに盛り込む5つの規定

実用的なSNS運用マニュアルを作成するため、必要な項目を5つの規定に分けて整理します。これら5つの領域を網羅することで、運用のクオリティを保ちながらトラブルを未然に防ぐ体制を整えられます。
①アカウント基本方針
アカウント基本方針には、以下の項目を記載します。
- 運用目的(KGI)
- ターゲットペルソナ
- アカウントコンセプト
- 数値目標(KPI)
- アカウント情報の管理方法
IDやパスワード等のアカウント情報は、保管担当者やアクセス権限者を定めて厳重に管理しましょう。総務省も業務でのSNS利用時における留意点として、IDやパスワード等の適切な管理を挙げています。
また、利用する各SNSの利用規約を守ることも不可欠です。規約の変更をチェックする担当者と確認する頻度をあらかじめ決めておきます。
②投稿コンテンツ規定
投稿コンテンツ規定には、以下の項目を記載します。
- 投稿の方向性
- トーン&マナー
- 画像や動画のレギュレーション
- ハッシュタグの選定方法
- 投稿の作成から承認までの流れ
たとえば総務省の公式SNSの運用方針では、発信する情報を「公式Webサイトの掲載内容」「アカウントに関する情報」「ニーズが高く周知が必要な情報」の3つに分類して整理しています。自社で運用する際も、発信する情報の範囲をあらかじめ定めておきましょう。
また、投稿で使用する画像や文章が、他者の著作権や肖像権を侵害しないよう配慮することも欠かせません。総務省も、権利侵害の防止を業務でSNSを利用する際の留意点として挙げています。
③コミュニケーション規定
コミュニケーション規定には、以下の項目を記載します。
- 受け取ったコメントやDMへの対応手順
- 返信方針(返信する範囲・対応できる時間帯・担当者)
- 削除やブロックの明確な基準
返信方針は、上記の3点を具体的に決めておきます。運用の負担軽減やトラブル防止のために「返信を行なわない」と定めることも一つの選択肢です。総務省の公式SNS運用方針でも、原則として返信は行なわず、問い合わせは専用窓口で受け付けると示しています。
あわせて、削除やブロックの対象となる行為を整理しましょう。総務省では法令違反や誹謗中傷、公序良俗に反する投稿など、15の類型を定めて対応策を提示しています。
④レポーティング規定
レポーティング規定には、以下の項目を記載します。
- レポートの頻度・フォーマット
- 測定するKPI項目
- 共有範囲と報告フロー
レポートの頻度は週次や月次などで設定します。前章の基本方針で定めたKPIを軸に、誰がどのタイミングで数値を報告するかを具体化します。
測定結果をチーム内で共有する手順まで明記することで、改善策をすばやく実行に移せる体制を整えます。情報共有のルートを明確にし、運用成果をチーム全体で把握しましょう。
⑤緊急時対応規定
緊急時対応規定には、以下の項目を記載します。
- 炎上の定義と判断基準
- エスカレーションフロー
- 対外発表の承認手順
- 緊急時の連絡網
総務省の運用方針にも「緊急時等における対応」という独立した項目があり、災害時など平時と異なる状況での発信ルールを定めています。炎上に限らず、非常時の動き方を通常時と分けて書いておくと、判断に迷いにくくなります。
あわせて、サービスが一時的に利用できない場合の対応策を決めておくと安心です。たとえば、SNS側で障害が発生した際に、自社の公式Webサイトなど代替の告知場所をどこにするかまで事前に決定しておきましょう。
SNS運用マニュアルのテンプレート(記入例つき)

5つの規定を踏まえた運用のテンプレートをご用意しました。各項目に記入例を記載しているため、自社の運用に合わせてそのまま活用できます。以下のテンプレートに沿って、必要な項目を順に埋めていきます。
| 規定 | 記載項目 | 記入例 |
| ①アカウント基本方針 | 運用目的(KGI) | Instagramを起点に自社ECの新規購入者を増やす。KGIはSNS経由の月間購入件数とする |
| ターゲットペルソナ | 30代女性。敏感肌に悩み、成分表示を確認してから購入する。Instagramで情報収集し、保存機能をよく使う | |
| アカウントコンセプト | 成分を選んだ理由まで説明するアカウント。1投稿につき、使い方か選び方を1つ持ち帰ってもらう | |
| 数値目標(KPI) | 保存数、プロフィールクリック数、GA4で見にいくSNS経由のセッション数と購入件数。目標値は四半期ごとに見直す | |
| アカウント情報の管理 | IDとパスワードはパスワード管理ツールで保管。閲覧権限は運用担当2名と部門長のみ。二段階認証を有効にし、退職・異動が発生した日のうちに権限を外す | |
| 利用規約の確認 | 各SNSの利用規約とコミュニティガイドラインを四半期に一度確認する。担当は運用リーダー | |
| ②投稿コンテンツ規定 | 発信する情報の範囲 | (1)商品と成分の情報 (2)使い方・選び方 (3)キャンペーン・入荷情報。この3つ以外は投稿しない |
| 投稿の方向性 | 役立つ情報を中心にし、宣伝は全体の一部にとどめる。宣伝だけが続く週をつくらない | |
| トーン&マナー | ですます調。一人称は「わたしたち」。絵文字は1投稿につき2つまで。効果や効能を断定する表現は使わない | |
| 画像・動画のレギュレーション | 自然光で撮影し、指定のプリセットを使用する。フォントは指定の2書体のみ。他社商品が写り込んだ写真は使わない | |
| ハッシュタグの選定ルール | 固定タグ3つ+投稿ごとのタグを追加する。投稿内容と無関係なトレンドタグは付けない | |
| 投稿作成・承認フロー | 運用担当が下書きを作成 → 部門長が承認 → 運用担当が予約投稿。承認を経ない投稿は行なわない | |
| 著作権・肖像権の確認 | 他者の写真・イラスト・文章・音源を使う場合は、権利者の許諾を確認してから使う。人物が写る写真は本人の同意を得る | |
| ③コミュニケーション規定 | 返信方針(範囲・時間・担当) | 商品と使い方に関するコメント・DMには営業日中に返信する。価格交渉、医療的な相談、個人情報を含むやり取りには返信せず、問い合わせ窓口へ案内する。担当は運用担当2名 |
| ポジティブなコメントへの対応 | 感謝を伝える。同じ定型文を使い回さず、コメントの内容に触れて返す | |
| ネガティブなコメントへの対応 | その場で反論しない。事実確認を行ない、対応方針を部門長と決めてから返信する。返信内容は記録に残す | |
| 削除・ブロックの基準 | 法令違反/誹謗中傷/政治・宗教活動/知的所有権の侵害/営利目的の宣伝/差別/公序良俗違反/虚偽・風評/プライバシー侵害/なりすまし/有害プログラム/わいせつ表現/当社の投稿の改変/投稿と無関係な内容/その他不適切と判断したもの | |
| ④レポーティング規定 | レポーティングの頻度 | 週次で投稿単位、月次でアカウント全体を確認する |
| 測定するKPI項目 | 保存数、プロフィールクリック数、GA4のSNS経由セッション数、SNS経由の購入件数 | |
| レポートのフォーマット | 指定のスプレッドシートに記入する。前月比と前年同月比を併記する | |
| 共有範囲と報告フロー | 月次レポートは部門長とEC責任者に共有し、月次の定例で報告する | |
| ⑤緊急時対応規定 | 炎上の定義と判断基準 | 批判的なコメントが平常時の水準を大きく超えた場合、または当社名を含む否定的な投稿が社外で拡散し始めた場合を「要対応」とする。判断基準となる水準は自社の平常時の数値をもとに設定する |
| エスカレーションフロー | 運用担当 → 部門長 → EC責任者 → 経営。感知から第一報までの時間をあらかじめ決めておく | |
| 対外発表の承認フロー | 文面は部門長が起案し、EC責任者と経営の承認を得てから公開する。担当者の判断だけで投稿を削除しない | |
| 緊急連絡網 | 関係者の氏名・役職・連絡先を記載する。営業時間外の連絡手段も定めておく | |
| サービス障害時の運用 | SNS側の障害で投稿・返信ができない場合は、自社サイトのお知らせとメールで告知する。復旧後にSNSでも告知する |
テンプレートの使い方
5つの規定ごとに、記載項目と記入例を並べた形式にしています。各項目の記入例を見本にして、自社の内容に置き換えながら書き進めれば、実用的な運用マニュアルの体裁が整います。
記入例は、架空のEC事業者を想定して作成しました。自社の事業規模や運用体制に合わせて、文言を書き換えて活用します。実際の運用フローや管理方法に沿って項目を調整することで、自社に最適なマニュアルを効率よく作成できます。
そのまま使うときの注意
テンプレートは、そのまま使うのではなく、自社の実態に合わせて書き換えてご活用ください。
運用体制が整っていない状態で承認フローだけを記載しても、現場では機能しにくくなります。まずは、決められるところから順に項目を埋めていきましょう。
自社で使わない項目は、削除しても問題ありません。実際の運用に合わないマニュアルは使われなくなってしまうため、定期的に見直しながら、現場で役立つ内容に育てていきましょう。
EC事業者が追加すべき項目

基本の5つの規定に加えて、EC事業者ならではの項目を追加します。特に押さえておきたい代表的な項目を5つご紹介します。事業形態や運用ルールに合わせて、適切な文章を組み込んでいきましょう。
| 項目 | 根拠となる法令等 | 記載例 |
| 商品情報の記載ルール | 景品表示法(有利誤認表示) | 価格・送料・キャンペーン期間を投稿に書く場合は、投稿日時時点の条件であることを明記する。
価格を改定したときは、該当する投稿を訂正または削除する |
| キャンペーン・プレゼント企画のルール | 景品表示法の景品規制(消費者庁「景品規制の概要」) | 企画の設計時に、応募条件が取引に付随するかをまず判定する。
購入や利用を条件にする場合は一般懸賞の限度額を確認する。 無料会員登録やLINE友だち追加など判定に迷う条件は、企画ごとに確認する |
| ステルスマーケティング規制への対応 | 景品表示法第5条第3号/令和5年内閣府告示第19号(令和5年10月1日施行) | 当社が投稿内容の決定に関与する場合は「広告」「PR」等を投稿本文に明記する。
ツリー(リプライ)への記載では足りないものとする。 従業員が個人アカウントで販促目的の投稿を行なう場合も同様に扱う |
| お客様のレビュー・投稿を扱うときのルール | 同上(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」) | 「お客様の声」として掲載する場合は、恣意的に抽出せず、内容を変更せずそのまま引用する。
事実に反する記載や他社の名誉を毀損する記載を除き、レビューの修正を依頼しない |
| 在庫・販売終了時の投稿の扱い | 法令上の根拠なし(実務上のルール) | 週に一度、在庫と過去投稿の突き合わせを行なう。
売り切れ・販売終了の商品を扱った投稿は、注記を追加するか削除する。担当と実施日を決めておく |
| 区分 | 取引価額 | 景品類の最高額 | 景品類の総額 |
| 一般懸賞 | 5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
| 5,000円以上 | 10万円 | 懸賞に係る売上予定総額の2% | |
| 総付景品 | 1,000円未満 | 200円 | 定めなし |
| 1,000円以上 | 取引価額の10分の2 | 定めなし | |
| (参考)オープン懸賞 | 取引に付随しない企画 | 上限額の定めなし | 定めなし |
商品情報の記載ルール
価格や在庫、送料、キャンペーン期間をSNSで発信するときは、書き方のルールをあらかじめ決めておきましょう。
投稿したときの価格と今の価格が違っていると、お客様が「この価格で買える」と思い込み、トラブルになることがあります。実際より安く見せてしまう二重価格表示には、とくに気をつけたいところです。
景品表示法の「有利誤認表示」にあたらないよう、価格や期間を書くときは「投稿日時点の条件」と明記しましょう。価格を改定したときは、過去の投稿を訂正または削除するルールも決めておくと安心です。
キャンペーン・プレゼント企画のルール
プレゼント企画は、景品表示法の「景品のルール」が適用されるかどうかで、守るべき内容が変わります。企画を考える前に、自社の企画がどちらにあたるのかを確認しておきましょう。
このルールの対象になるのは、お客様を引きつけるために、自社の商品やサービスの購入などとセットで渡すプレゼントです。お金や物のほか、お得になるものも含まれます。
購入や来店を条件にせず、広く告知して抽選でプレゼントを渡す企画は「オープン懸賞」と呼ばれ、ルールの対象外です。フォローやリポストだけを条件にした抽選企画がこれにあたります。プレゼントの金額に決まった上限はありません。以前は1,000万円が上限でしたが、平成18年4月に廃止されました。
一方、商品の購入を条件にすると、ルールの対象になります。渡し方によって、次のような上限が決まっています。
- 一般懸賞(抽選で渡す場合)
- 購入金額が5,000円未満なら、プレゼントは購入金額の20倍までです。5,000円以上なら10万円までです。プレゼントの合計は、見込みの売上総額の2%以内におさめます。
- 総付景品(全員にもれなく渡す場合)
- 購入金額が1,000円未満なら、プレゼントは200円までです。1,000円以上なら、購入金額の10分の2(20%)までです。
なお、商店街などが共同で行なう「共同懸賞」という区分もあります。ただ、単独のEC事業者は通常あてはまらないため、この記事では解説を省きます。
*参考 消費者庁
ステルスマーケティング規制への対応
ステルスマーケティング規制(ステマ規制)は、令和5年10月1日に始まりました。規制されるのは、投稿内容の決定に関わった事業者(広告主)です。インフルエンサーやアフィリエイターは原則として対象外ですが、事業者と一緒に商品を供給している場合は対象になります。
違反すると措置命令が出され、違反のおそれがあれば「指導」が入ります。施行前の投稿も、広告と分からないまま残っていれば処分される可能性があるため、過去の投稿の見直しも手順に入れておくと安心です。
広告とみなされるかどうかは、事業者が投稿内容を決めているかどうかがポイントです。レビュー投稿の見返りにクーポンを渡すだけなら、通常は問題ないと考えられます。
ただし、「星5」や具体的な感想を条件にした場合や、販売・開発に関わる従業員が販促目的で投稿した場合、特定のインフルエンサーに無償で商品を渡した場合は、広告と判断されることがあります。従業員の場合、所属を書くだけでは足りないこともあります。
広告にあたる投稿には、本文に「広告」「PR」や「提供を受けて投稿しています」などと書きましょう。リプライに書いても、気づかれにくく、明瞭とはいえない場合が多いようです。
お客様のレビュー・投稿を扱うときのルール
お客様のレビューやアンケートの回答は、載せ方や直してもらい方によって、広告(事業者の表示)と判断されることがあります。掲載するときと、修正をお願いするときの2つの場面に分けて、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
お客様の声として掲載するとき
お客様の投稿やアンケートの回答を「お客様の声」として載せるときは、選び方と引用のしかたがポイントです。無作為に選び、内容を変えずにそのまま引用するなら、事業者の表示にはあたりません。
一方で、好意的な評価だけを選んだり、「良い点」の部分だけを抜き出したりすると、事業者の表示にあたると考えられます。自社が依頼したインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として載せるのも、適当ではありません。
掲載の許可をあらかじめ得ておく方法もあります。たとえば総務省の運用方針には、投稿されたことをもって、投稿コンテンツを無償で使用する権利を許諾したものとみなす趣旨の条項が置かれています。あくまで一例で、そのまま自社に当てはまるとは限りません。
レビューの修正をお願いするとき
レビューの管理はEC運営の日常業務ですが、修正のお願いのしかたには注意が必要です。実際にはない性能が書かれているなど、事実と違う内容や、他社の名誉を傷つける内容について直してほしいと伝えるだけなら、事業者の表示にはあたりません。
ただし、お客様の感想を自社に都合のよい内容に直すようお願いすると、修正後のレビューは事業者の表示にあたると考えられます。どこまでが事実の訂正で、どこからが感想の誘導なのか、線引きを社内ルールに書いておきましょう。
在庫・販売終了時の投稿の扱い
売り切れや販売終了になった商品の投稿が残っていると、見に来たお客様は買えずに帰ってしまいます。セールやキャンペーンが終わったあとの投稿も同じです。
こうした行き違いを防ぐには、在庫の状況と投稿の内容を合わせておく仕組みが欠かせません。マニュアルには、次の3点を決めて書いておきましょう。
- 誰が在庫を確認するのか
- いつ確認するのか
- 該当する投稿を訂正するのか、削除するのか
たとえば「週に一度、在庫と過去の投稿を照らし合わせる」のように、担当者と実施日まで書いておくと、日々の運用で迷いません。
運用体制と役割分担

マニュアルがあっても、「誰がやるのか」が決まっていなければ現場では使われません。この章では、運用に必要な4つの役割と承認者の決め方を紹介します。少人数のチームでも取り入れられる内容です。
4つの役割を定義する
SNS運用には、次の4つの役割を置きます。それぞれの業務内容を、マニュアルに書き出しておきましょう。
- 投稿企画・コンテンツ制作担当:投稿のテーマを考え、文章や画像をつくる
- SNS運用担当:投稿の予約や公開、コメントやDMへの対応を行なう
- 分析・レポーティング担当:数値を集めて分析し、レポートにまとめる
- 承認者:投稿前の最終チェックを行ない、公開の可否を判断する
一人が複数の役割を兼ねても問題ありません。ただし、誰がどの業務を担当するのかは、必ず文章にして残しましょう。総務省の運用方針でも、運用を担当する部署名を具体的に記載しています。まずは自社の担当部署と担当者の名前を、4つの役割それぞれに書き込むところから始めてみてください。
承認者を明確にする
運用を始める前に、投稿前の最終チェックを誰が行なうのかを決めておきましょう。承認者は、日々の投稿を確認するだけでなく、炎上やトラブルが起きたときに、すばやく対応方針を判断する役割も担います。
いざというときに迷わないよう、承認者の名前と、不在時の代理の人まで決めておくと安心です。
SNS運用マニュアルの作成手順

何から手をつければよいか迷っても、最初から完璧に仕上げる必要はありません。体制づくりから社内への周知まで、作成の流れを順に紹介します。完成度にこだわらず始めるコツもお伝えします。
作成の流れと、最初から完璧を目指さない考え方
マニュアルは、次の順番で作成します。
- 運用体制を整える
- 5つの規定の骨子をつくる
- 各項目を記入する
- 関係部門に確認してもらう
- 社内に周知する
最初から完璧を目指す必要はありません。決められる範囲から埋めて、運用しながら項目を足していきましょう。総務省の運用方針にも、「方針は必要に応じて事前に告知なく変更するものとする」という条項があります。マニュアルは、運用に合わせて更新していくものと考えておくと安心です。
マニュアルを形骸化させないために

マニュアルは、つくって終わりにしてしまうと、だんだん使われなくなります。現場で役立つ状態を保つには、定期的な見直しが欠かせません。この章では、マニュアルを古くしないための、見直しと更新の仕組みを紹介します。
見直しの頻度と担当を決める
SNSは機能や利用規約がたびたび変わります。自社の運用方針が変わることもあるため、マニュアルもそれに合わせて更新していきましょう。
更新が後回しにならないよう、見直しの時期と担当者は、マニュアルの中に書いておきます。たとえば「四半期に一度、運用リーダーが見直す」のように決めておくと、更新のタイミングで迷いません。
成功・失敗事例を蓄積する
日々の運用で起きたことは、マニュアルを育てる貴重な材料になります。反応がよかった投稿や、対応に迷った場面は、そのつど記録に残しておきましょう。
記録がたまっていれば、次の見直しのときに、現場の実情に合った内容へ書き直せます。
まとめ

SNS運用マニュアルは、基本の5つの規定に、EC事業者ならではの追加項目を組み合わせてつくります。景品やステマ規制など、EC特有のルールも加えておくと安心です。
ただ、最初から完璧に仕上げる必要はありません。決められるところから書き始め、運用しながら少しずつ整えていけば十分です。マニュアルは、つくって終わりではなく、育てていくものです。
まずは記入例つきのテンプレートを、自社の状況に合わせて書き換えてみてはいかがでしょうか。
SNS運用マニュアルに関してよくある質問
Q. SNS運用マニュアルとガイドラインはどう違いますか?
A. マニュアルは、運用担当者が日々の業務で使う具体的な手順書です。一方ガイドラインは、全従業員に向けて、SNS利用の方針や注意点をまとめたものです。対象となる人や目的が違うので、分けて用意すると分かりやすくなります。
Q. テンプレートをそのまま使ってもよいですか?
A. そのまま使うのはおすすめしません。自社の体制や規模に合わせて、内容を書き換えてご活用ください。合わない文言が残っていると、現場で迷いや行き違いが生まれやすくなります。
Q.一人で運用している場合もマニュアルは必要ですか?
A. 一人運用でも、マニュアルがあると安心です。急にお休みが必要になったときや担当が代わるときも、手順が残っていればスムーズに引き継げます。投稿の基準も安定し、誤投稿の防止にもつながります。
Q. SNSキャンペーンで景品を出すとき、上限額はありますか?
A. 応募条件によって変わります。フォローやリポストだけで参加できる抽選企画なら、上限はありません。商品の購入を条件にする場合は景品表示法の対象となり、取引額に応じた上限があります。
Q. 従業員が個人アカウントで自社商品を紹介しても大丈夫ですか?
A. 感想を投稿しただけで、すぐに問題になるわけではありません。ただ、販売や開発に関わる従業員が販促目的で投稿すると、広告とみなされることがあります。社内ルールを決めて、従業員に伝えておくと安心です。





