フルフィルメントとは

フルフィルメントとは?サービス内容やメリット、導入のタイミングなど徹底解説

  • 最終更新日:2024.11.15
フルフィルメントとは

「フルフィルメントとは何か?」
「導入すると、どのようなメリットがあるのか?」

ECの分野では頻繁に出てくる“フルフィルメント”という言葉。どのようなものかご存知でしょうか。

フルフィルメントとは、商品の注文を受けてから顧客に届けるまでの、一連の業務プロセスのことを指します。これらの業務を委託することで、依頼主に多くのメリットが生まれるため、導入前にフルフィルメントの詳細について把握しておくことがおすすめです。

そこで今回は、フルフィルメントのサービス内容やメリット、導入のタイミングなどについて解説します。フルフィルメントに興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

フルフィルメントとは?

フルフィルメントとは、ECサイトや通販業界で商品の注文をうけてから顧客に届けるまでの一連の業務プロセスを指します。これには、商品の受注、梱包、在庫の管理、発送、そして顧客からの問い合わせ対応やクレーム処理などが含まれます。

現在、インターネットの普及によりオンラインショッピングが増え、フルフィルメントの役割がより重要になっています。商品の注文から受け取りまでの過程がスムーズで高品質であることは、顧客満足度やリピート購入に大きな影響を与えるためです。

以上のことから、EC事業者にとって適切なタイミングでフルフィルメントサービスを導入し、物流業務の効率化と品質を向上させることは非常に重要となります。

フルフィルメントサービスの業務内容

フルフィルメントサービスの主な業務内容は以下の通りです。

  • 入荷検品
  • ロケーション
  • 商品の保管
  • コール業務、受注・決済処理
  • ピッキング
  • 出荷検品
  • 流通加工
  • 梱包・発送
  • 返品処理、顧客対応

ここからは、フルフィルメントサービスの業務内容について、一つずつ解説します。

入荷検品

入荷検品とは、商品や材料が倉庫に到着した際に、注文通りの商品や数量であるか、また外観や品質に問題はないかを確認する作業のことを指します。この作業は、商品の輸送中に損傷や汚損が生じてしまっている可能性があるため、将来的なトラブルを防ぐという観点からも重要です。

まず、商品が到着した際に、伝票と実際の荷物を照らし合わせ、発注した商品と違いがないかを確認します。次に、商品の外観を確認し、破損・汚損などがないかをチェックし、商品に問題があった場合は、早急に卸業者やメーカーに報告し、交換や返品の手続きを依頼します。

入荷時に厳格な検品を行なうことは、無駄な在庫コストの削減だけでなく、不良品の流通を防ぎ、ひいては顧客満足度の上昇にもつながります。

ロケーション

フルフィルメントにおける「ロケーション」とは、商品が保管されている具体的な場所を指します。これは、商品の受け入れ、保管、ピッキング(商品の取り出し)、出荷といった一連の業務をスムーズに行なうための重要な作業です。

商品が倉庫に保管される際、種類やサイズに基づいて異なるロケーションが割り振られます。適切なロケーションを割り当てることにより、倉庫内で商品を探す時間を短縮できます。

荷物をサイズごとに分ける、入出庫の頻度に応じて置き場所を再考するなどの対策をとることで、ロケーション管理をより効率的に行なうことが可能です。ロケーションの適切な管理は、商品の迅速な出荷と在庫の効率的な管理を可能とします。

商品の保管

フルフィルメントの業務内容の一つに商品を適切に保管することが挙げられます。商品の保管は、出荷までの間、商品を適切な状態で保管することを意味します。保管方法は商品の特性、形状、大きさにより異なり、ラックやパレットなどが利用されます。特定の温度や湿度が必要な商品は、専用の環境で保管されます。

これまでは、商品を保管する倉庫は、地価のやすい都市近郊に設けることが多い傾向でした。しかしながら、ECサイトからの注文は主に都内からのものが多いことから、物流倉庫は都内に設ける企業が増えています。

コール業務、受注・決済処理

フルフィルメントの業務内容には、コール業務、受注・決算処理が含まれます。コール業務は、顧客からの電話注文を受付する業務です。これには、商品の問い合わせやクレーム対応、返品・交換対応も含まれます。

受注処理は、商品の注文を受けて、出荷準備に取り掛かる作業のことを指します。在庫管理システムと連携して在庫を適切に管理し、出荷指示を行ないます。販売チャネルは自社ECサイトだけでなく、他のプラットフォームからも販売していることもあるため、ミスが無いよう受注処理を行なう必要があります。

また、決済処理では顧客からの支払いを管理します。フルフィルメントの決済業務は代引きが中心でしたが、近年では代引きでの支払いが減っていることから、フルフィルメントでの決済業務は減少傾向にあります。クレジットカードや電子決済、キャリア決済などは、ECサイト運営企業が決済業務を担当します。

ピッキング

フルフィルメントの業務の一つにピッキングが挙げられます。ピッキングは、出荷指示に基づき倉庫から必要な商品を取り出す作業です。商品が大きい場合は、台車やフォークリフトを使用することもあります。

効率的にピッキングを行なうには、歩行導線を考えたレイアウトにする必要があります。ミスを軽減するためにも、間違えやすい似たような商品は、同一のロケーションに格納しないようにするなどの工夫が必要です。

また、近年では、ピッキングの人為的ミスを減らすために、専門のシステムを活用するサービスが増えてきています。これにより、ピッキング作業の効率化と精度向上を図れます。

出荷検品

出荷検品は、ピッキングした商品の数量やサイズ、色などが正しいかを出荷前に確認する作業です。合わせて、商品に破損や傷、汚れがないか、異物が混入していないかもチェックします。

この検品作業は、商品発送前の最終チェックとなります。そのため、特に重要度の高い業務といえます。商品の異常は、この段階で発見しなければならないため、特に念入りに行われます。

万が一、品番違いや不良品が顧客にわたってしまった場合、大きく信頼を失うことに繋がります。そのような事態を防ぐためにも、バーコードやQRコードを読み取るハンディーターミナルを導入し、ヒューマンエラーを軽減できるような対策をとることが重要です。

流通加工

流通加工は、物流の過程で商品に加工を加えて、商品の付加価値を上げる業務です。具体的には、「カット加工」「箱詰め」「シュリンク」「ラベリング」などが挙げられます。これらの作業は、商品の見た目や使いやすさを向上させることを目的としています。

また、流通加工は取り扱う商品によって、「生産加工」と「販促加工」に分けられます。生産加工は、物流の流通加工の中でも材料や部品を商品化するために必要な加工作業です。カット・カッティングや商品の組み立て、丁合などは流通加工に含まれます。

一方、販促加工は商品の販促拡大を行なうための加工作業です。販促加工は、ラベリングや包装、箱詰めなどが業務内容に含まれます。

流通加工は、商品の価値を高め、顧客の手間を省き、商品の信頼性を確保できます。そのため、顧客満足度を向上させるための、重要な業務といえるでしょう。

梱包・発送

梱包や発送は、商品に合わせて適切にパッケージングし、商品を顧客に届ける作業です。商品は適切な箱や袋に入れ、必要に応じて緩衝材を使用して商品を保護します。これにより、商品が輸送中に破損するのを防ぎます。

梱包が完了したら、商品の発送先情報を確認し、適切な配送業者を選択します。配送業者は、商品の大きさや重さ、発送先の地域などによって異なります。

商品を配送業者に引き渡したら、必要に応じて、顧客に商品が発送されたことを通知します。この通知は、メールやSMSなどで行われます。近年では、配送完了時にも、顧客に通知するのが一般的です。

返品処理、顧客対応

返品処理は、顧客から返品の申し出があった場合に、商品の受け取りから返金までの一連の手続きを行なう業務です。返品商品の受け取り、商品の状態確認、在庫への戻し、そして顧客への返金処理などが業務内容に含まれます。

顧客対応は、顧客からの問い合わせやクレーム対応などを行なう業務です。これには、配送状況の確認や、商品に関する問い合わせなど、顧客からの多様な要望に応えることが求められます。

返品処理や顧客対応は、企業の信頼に直結するため、迅速に対応することが重要です。多様なニーズに応えるためにも、可能な限りそれぞれの要望に対応できる柔軟性が求められる業務といえるでしょう。

フルフィルメントサービスと3PLの違い

フルフィルメントサービスと3PLは、どちらも商品の流通をサポートするサービスですが、それぞれが担当する業務の範囲には違いがあります。

フルフィルメントサービスは、商品の注文から消費者への配送までの一連の業務を包括的に扱います。これには、注文の処理、決済の手続き、さらには返品やクレームの対応など、顧客サービスに関連する業務も含まれています。

一方、3PLは物流業務のすべてや一部を第三者企業に委託することを指します。3PLでは、物流業務以外の、決済処理やクレーム対応などの業務は含まれません。

つまり、3PLは物流業務に特化していて、フルフィルメントサービスは物流業務だけでなく、より広範な業務をカバーする委託サービスと言えます。

フルフィルメントサービスを導入するメリット

フルフィルメントサービスの主な導入メリットは3つあります。

  • マーケティング活動に注力できる
  • 物流コスト削減による高収益化
  • >顧客満足度の向上

マーケティング活動に注力できる

フルフィルメントサービスを導入することで、これまでよりもマーケティング活動に注力できます。事業が成長すると、物流業務が増加するため、効率的に業務を進める必要がでてきます。物流業務に時間を割いてしまうと、マーケティング活動に注力することが困難となるでしょう。

フルフィルメントを導入すれば、商品の発注から返品処理など一連の業務を委託できます。そのため、これらの業務にかかっていた時間を他の業務にあてることができるのです。これにより、新商品の市場調査やプロモーションの企画などのマーケティング活動に、多くのリソースを割くことが可能となります。

物流コスト削減による高収益化

フルフィルメントは、物流コストを削減できることから、収益の向上が期待できます。自社で物流業務を行なうと、商品の受け取りや検品、ピッキングなどの多くの業務は人の手によって行われることから、多くの人件費がかかってしまいます。

フルフィルメントを導入すれば、業務を委託できることから、物流業務に関わる人件費を削減できます。加えて、フルフィルメントサービスは複数の企業の物流業務を一貫して担当していることが多いため、一つ一つの商品にかかる物流コストも軽減できるでしょう。

さらに、フルフィルメントの利用料金は、多くの場合売上額と連動しています。そのため、売上が伸び悩む閑散期では、コストを抑えることができ、売上に左右されず安定した収益を確保することが可能となります。

顧客満足度の向上

フルフィルメントを導入すると、顧客満足度の向上に繋がります。フルフィルメントサービスは、商品の受注や発送だけでなく、アフターサポートまでを一手に担当します。

これにより、商品の配送がスムーズに行われることはもちろん、商品の返品や交換、それに伴う顧客対応も適切に行なうことが可能です。万が一トラブルが発生した場合でも、迅速かつ柔軟に対応できるため、顧客満足度の向上に繋がります。

また、クレジットカードやPay払いなど多彩な決済方法に対応できるのも顧客満足度の向上に繋がる重要なポイントです。

フルフィルメントサービスを導入するデメリット

一方で、フルフィルメントサービスには導入デメリットもあります。それは、次の2つです。

  • 物流業務のノウハウが蓄積しない
  • 顧客のニーズを拾いにくくなる

物流業務のノウハウが蓄積しない

フルフィルメントを導入すれば、自社で物流業務を行なう必要がなくなるため、業務量は軽減できますが、物流に関するノウハウが自社で蓄積できないというデメリットが発生します。

商品の受注や梱包、発送など、これらの業務に関する経験や知識が自社内で蓄積されないと、市場の変化や予期せぬトラブルに対応する能力が低下する可能性があります。また、物流ノウハウが自社で蓄積されていないと、他の競合企業が独自の物流戦略を持っている場合、競争力が低下するケースも考えられるでしょう。

このような事態を避けるためにも、社内に物流業務の専門チームを設けることが大切です。フルフィルメントサービス提供者と連携する役割を担わせることで、サービス提供者から得た知識を社内に共有し、物流業務のノウハウを蓄積できる可能性が高まります。

顧客のニーズを拾いにくくなる

フルフィルメントを導入すると、顧客との直接的な接点が減少し、顧客の声やニーズを拾いにくくなる可能性があります。顧客のニーズを正確に把握できないと、商品やサービスの品質が顧客の期待に合わない可能性があります。これは、顧客満足度の低下につながり、新規顧客獲得の機会を失うことにも繋がるでしょう。

顧客のニーズに対応するためにも、フルフィルメントを導入した後も、顧客からのフィードバックやクレームを収集し、商品開発やサービス改善に活用できる仕組みを作ることが大切です。

また、フルフィルメントの提供先の企業が持っている、商品の売れ行きや返品率などのデータを活用し、顧客のニーズや嗜好を把握することも有効です。これにより、フルフィルメント導入によるデメリットを最小限に抑えることが可能となります。

フルフィルメントサービスを導入するべきタイミング

フルフィルメントサービスは、適切なタイミングで導入することが大切です。ここでは、そのタイミングについて解説します。

物流コストによって利益が圧迫されている時

物流コストが増大し、利益が圧迫されている場合、フルフィルメントの導入は有効な解決策となります。フルフィルメントを利用する際にもコストは発生しますが、自社で物流業務を行なうよりも、フルフィルメントサービスを利用したほうが、コストの削減に繋がるケースが多いとされています。

自社で物流を行なうと、商品の注文が増えるにつれ、在庫管理やピッキング、梱包などの作業量が増大します。これにより、人件費や倉庫の維持費などの物流コストが増加し、利益が圧迫される可能性があります。

このような状況でフルフィルメントを導入すると物流業務全般を専門業者に委託できます。これにより、物流コストを削減し、利益を確保することが可能となります。

取り扱い商品などが増え、物流業務が煩雑になってきている時

取り扱う商品が増え、物流業務が煩雑になっているときは、フルフィルメントを導入する適切なタイミングです。商品の種類が増えるにつれて、物流に関する作業量は増大するため、物流業務が煩雑になる可能性が高くなります。

これにより、物流業務の効率が低下し、運送効率の低下や、サービス品質の低下を招く場合もでてくるでしょう。

このような事態を防ぐためにも、フルフィルメントサービスの利用は有効です。物流業務全般を、専門のノウハウをもった企業に委託することで、物流業務の効率化が図られ、業務の煩雑さが軽減されます。

EC事業を始めたばかりの時

EC事業を始めたばかりのときは、慣れない業務に手が回らなくなることが想定されます。初期段階であれば、商品の注文数が少ないことから、自社で行なうことも可能ではありますが、注文数が増えるにつれ、物流業務の管理が難しくなるでしょう。

そのため、フルフィルメントサービスを導入して、適切に業務を管理できる環境をつくることが大切です。フルフィルメントサービスの導入には、ある程度の期間が必要ですので、ECサイトを立ち上げる前から、導入の準備を進めていくと良いでしょう。

フルフィルメントサービスを導入する際に確認するべきポイント

フルフィルメントサービスを導入する際には、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。ここからは、フルフィルメントサービスを導入する際に確認するべきポイントについて解説します。

サービス・サポートの範囲

フルフィルメントサービスを導入するなら、サービス提供者がどのようなサポートを提供しているか確認しましょう。受注処理、在庫管理、発送、返品・返金処理などの業務をサポートしているか、またそれらの業務の品質や効率はどの程度保証されているのかを確認する必要があります。

合わせて、顧客からの問い合わせやクレーム対応など、どの程度サポートされるのかも事前に確認しておきましょう。

もし、顧客からの問い合わせやクレーム対応が受け付けられない場合、自社で行なう必要がでてきます。適切に顧客対応ができないと、顧客満足度の低下に繋がる可能性があるため、十分なサポートが提供される企業かどうかを事前に把握するようにしましょう。

料金体系

フルフィルメントサービスを導入する際は、料金体系を確認することが重要です。物流コストは上昇傾向にあることから、可能な限りコストを抑える必要があるためです。料金体系を確認する際には、トータルの料金だけではなく、各項目にどのくらいの料金が発生するのかを確認し、比較検討することが大切です。

加えて、初期費用やランニングコストがかかる場合もあるので、これらの費用を把握し、自社の予算に合うか確認するようにしましょう。また、返品が発生した場合や、梱包やラベルの貼付が不適切だった場合に追加の料金が発生するケースもあるので、合わせてチェックしておくことを推奨します。

商品の保管環境

フルフィルメントサービスを導入する際は、商品を適切な環境下で保管できるかを把握しておきましょう。取り扱う商品によっては、特殊な環境での保管が必要になることもあるため、そのような環境に対応しているかを確認しておかなければなりません。

食品を取り扱う場合は、冷蔵・冷凍設備が備わっているか、その設備が適切に機能しているかを確認しておくことが重要です。合わせて、保管場所の清潔さや、安全性などもチェックしておく必要があります。そのため、フルフィルメントサービスを導入する際には、実際に倉庫を見学して、各社を比較検討すると良いでしょう。

まとめ

フルフィルメント業務を専門の業者に委託すれば、重要な業務に集中でき、物流コストの削減も期待できます。ただし、委託に際しては、自社での物流業務のノウハウが蓄積しにくくなる、または顧客のニーズを直接把握する機会が減るといったデメリットもあります。そのため、フルフィルメントの委託を検討する際は、メリットだけでなく、デメリットも理解したうえ、導入の是非を判断することがおすすめです。

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