楽天とAmazonの比較 – EC初心者が選ぶべきプラットフォームは?

ECサイトの開設で楽天市場とAmazonのどちらを選んだほうがいいか悩んでいませんか?両者は代表的なECプラットフォームですが、サービス内容や料金体系などに違いがあります。そのため、出店する前に、それぞれのメリットやデメリットを把握しておくことが重要です。そこで本記事では、楽天市場とAmazonの特徴や手数料などの違いをまとめました。どちらのECプラットフォームで開設するかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
楽天市場とAmazonの基本情報
楽天市場は「出店」するECプラットフォーム
楽天市場は、店舗単位で出店するECプラットフォームです。わかりやすく言うと、楽天市場の中で自社のオンラインショップを開設するイメージと言えます。楽天市場は、店舗デザインの自由度が高く、ブランドイメージを大切にしたい方におすすめです。
また、手数料は高めですが、ポイント還元率が高い点が大きな魅力です。そのため、楽天ポイントを活用してお得に買い物をしたいユーザーが多く集まります。
Amazonは「出品」するECプラットフォーム
一方で、Amazonは商品単位で出品するプラットフォームです。個別の商品ページを作成し、Amazonの顧客に向けて販売する形となります。Amazonでは、自社ブランドをアピールするための店舗ページのデザインの自由度は低いものの、商品ページの作成はシンプルで、すぐに販売を開始できるのが大きな特徴です。
また、Amazonの配送サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を利用すれば、在庫管理から配送、カスタマーサポートまでAmazonに任せることができるため、販売に専念できます。ここも、Amazonの大きな魅力のひとつです。Amazonの出品手数料は安めに設定されている一方で、ポイント還元率は楽天市場ほど高くないため、価格設定やプロモーションで工夫することが求められます。
出店者から見た楽天市場とAmazonの5つの違い
では、楽天市場とAmazonには具体的にどのような違いがあるのか出店者目線から見ていきましょう。
自社ページのデザインの自由度
楽天市場とAmazonでは、自社ページのデザインの自由度に大きな違いがあります。楽天市場では、出店者が自由にHTMLやCSSを編集できるため、ブランドイメージに合わせたオリジナリティあふれるページを作ることができます。
ただし、楽天市場のページデザインをオリジナリティあふれるものにするには、コーディングスキルが必要になります。HTMLやCSSの知識がない場合は、スキルを習得するか、専門家に依頼する必要があることを覚えておきましょう。
一方、Amazonは統一されたテンプレートを使用するため、デザインの自由度は限られます。シンプルで統一感のあるデザインのため、商品の魅力を引き出すための工夫は必要ですが、コーディングスキルがなくても容易にページを作成することができます。
出品手数料
楽天市場では、プランに応じて出品手数料が異なります。
がんばれ!プラン
対象 | ネットショップ運営のご経験が少ない事業者様におすすめ |
---|---|
料金 | 25,000円/月額(年間一括払い) |
契約期間 | 1年 |
登録可能商品数 | 10,000商品まで |
画像容量 | 1.5GBまで※2 |
システム利用料 |
パソコン:3.5%~6.5% モバイル:4.0%~7.0% |
スタンダードプラン
対象 | 目標月商が約178万円以上の事業者様におすすめ |
---|---|
料金 | 65,000円/月額(半年ごとの2回分割払い) |
契約期間 | 1年 |
登録可能商品数 | 50,000商品まで |
画像容量 | 100GBまで※2 |
システム利用料 |
パソコン:2.0%~4.0% モバイル:2.5%~4.5% |
メガショッププラン
対象 | 商品数や画像量が多く必要な事業者様におすすめ |
---|---|
料金 | 130,000円/月額(半年ごとの2回分割払い) |
契約期間 | 1年 |
登録可能商品数 | 無制限※3 |
画像容量 | 無制限※3 |
システム利用料 |
パソコン:2.0%~4.0% モバイル:2.5%~4.5% |
Amazonも楽天市場同様、プランによって出品手数料が異なります。
料金
プラン | 料金 |
---|---|
小口出品 | ¥100 / 商品 + 販売手数料 |
大口出品 | ¥4,900 / 月 + 販売手数料 |
このプランが適しているケース
項目 | 小口出品 | 大口出品 |
---|---|---|
月間の販売数 | 毎月49点まで販売する | 毎月49点以上販売する |
販売商品が未定 | ◯ | ◯ |
広告の利用 | × | ◯ |
検索結果・商品詳細ページでの掲載 | × | ◯ |
APIや詳細ツールの使用 | × | ◯ |
制限付きカテゴリーへの出品 | × | ◯ |
出品プランの主な機能
機能 | 小口出品 | 大口出品 |
---|---|---|
FBA(フルフィルメント by Amazon) | ◯ | ◯ |
Amazonカタログに新商品を追加 | ◯ | ◯ |
追加のカテゴリーへの出品申請 | × | ◯ |
一括出品機能 | × | ◯ |
フィード・スプレッドシート・レポートで在庫管理 | × | ◯ |
検索結果や商品詳細ページへの掲載 | × | ◯ |
API統合 | × | ◯ |
メディア以外の独自配送料設定 | × | ◯ |
オンサイト広告ツールの利用 | × | ◯ |
無料配送を含むプロモーション | × | ◯ |
複数ユーザーのアカウント管理 | × | ◯ |
商品単価が高く、販売数が少ない場合はAmazonがおすすめです。逆に、商品単価が安く、販売数が多い場合は楽天市場のほうが手数料負担が少なく済みます。
キャンペーン
楽天市場は、「楽天スーパーSALE」や「楽天お買い物マラソン」など、定期的に大規模なセールを開催しています。 これらのセールでは、ポイント還元率がアップするなど、消費者にとってお得な特典が魅力です。
一方、Amazonでは「Amazon Prime Day(プライムデー)」という大型セールを1年に1度開催しています。合わせて「ブラックフライデー」や「年末年始セール」などの季節ごとのセールも人気があります。
配送サービス
楽天市場の配送は、出店者ごとに異なります。出店者独自の配送サービスを利用することもできるため、ショップによって配送スピードが異なります。しかし、楽天市場では楽天スーパーロジスティクス(RSL)というサービスを用意しています。このサービスを利用することで、梱包・発送などの業務を楽天に委託でき、物流サービスのクオリティを上げることができます。
一方でAmazonは、Amazonプライム会員向けの「お急ぎ便」や「当日お急ぎ便」など、スピーディな配送オプションが充実しています。 注文から最短1時間で商品が届くこともあるため、顧客満足度の向上につなげられます。また、Amazonでは、フルフィルメント by Amazon(FBA)という物流に関する業務をAmazonに委託できるシステムがあります。手数料はかかりますが、FBAを利用すれば、煩雑な物流業務を任せることができ、自社はほかの業務に専念することが可能となります。
アフターサービスやサポート体制
楽天市場では、出店する際に専任のコンサルタントがつくことから、疑問点を気軽に相談できます。合わせて、楽天では無料のECセミナーも実施しています。このセミナーでは、売上を伸ばすノウハウを学ぶことができます。加えて、ショップ開設後にもサポートを継続してくれるのが楽天市場の魅力のひとつです。出品に関する悩みも迅速な解決を期待できます。
一方でAmazonは、統一されたカスタマーサポートを提供しており、24時間365日の電話サポートや、30日以内の返品にも対応しています。テクニカルサポートと言われる出品者専用の問い合わせ窓口から、出品時の不明点などを相談できます。
出店者から見た楽天市場とAmazonそれぞれのメリットと注意点
楽天市場へ出店する際のメリットと注意点
楽天市場へ出店する最大のメリットは、自社ブランドの構築と独自性の訴求が可能な点です。店舗デザインの自由度が高く、自社のオリジナリティを表現できます。一方、注意点として挙げられるのは、出品手数料が高い点です。また、出店するまでに時間がかかる点も注意が必要です。申し込みの審査に1〜2ヶ月、開店審査にも1〜2ヶ月かかるため、余裕をもって準備を進める必要があります。
Amazonへ出店する際のメリットと注意点
Amazonへ出店するメリットは、集客力と販売スピードの速さです。Amazonは国内最大級のECサイトで、多くの潜在顧客にリーチできます。また、FBAを利用すれば、在庫管理から配送まで一括で任せられるのも大きな魅力です。ただし、出品には審査があり、競合他社も多いので価格競争に巻き込まれやすいのが注意点です。自社ブランドの魅力よりも商品の品質で競争する傾向があるため、楽天と比べてブランドを独自に際立たせる工夫が必要です。
ユーザーから見た楽天市場とAmazonの3つの違い
送料や配送スピードの違い
Amazonは、プライム会員なら多くの商品で送料無料になります。一方、楽天市場はショップによって送料が無料となる商品金額が異なります。配送スピードでは、Amazonのお急ぎ便や当日お届け便などのサービスが充実しています。これに対し楽天市場は店舗ごとに配送方法が異なります。そのため、Amazonほどのスピード配送は難しいと言えます。
ポイント還元率とアプリの使いやすさ
Amazonのポイントシステムは、Amazonポイントという独自のポイントを使用しています。還元率はプライム会員であれば2%、プライム会員以外は1.5%のポイントを獲得できます。一方、楽天市場は、楽天スーパーポイントを中心としたポイント還元率の高さが魅力です。 通常時でも1%以上のポイント還元があり、キャンペーン時には最大で18倍のポイントを獲得することも可能です。貯まったポイントは、楽天市場での買い物に利用できるだけでなく、楽天トラベルや楽天ブックスなど、楽天グループのさまざまなサービスで利用できます。
購入後のサポートやアフターフォローの充実度
Amazonは、販売者に代わってAmazonが一括して対応します。違うショップから複数の商品を購入したとしても、窓口が一つで完結するため、問い合わせの手間を省くことが可能です。一方、楽天市場では販売店ごとにサポート体制が違います。そのため、販売店ごとに問い合わせが必要となり、お店の対応力次第で、満足度が大きく変わります。
ユーザーから見た楽天市場とAmazonそれぞれのメリットと注意点
楽天市場を利用するメリットと注意点
ユーザーが楽天市場を利用するメリットは、ポイント還元率の高さです。貯まったポイントは、楽天市場内のほかのサービスでも利用できるため、ポイントを効率的に活用したい人におすすめです。また、セールイベントが多いのも魅力のひとつです。セール期間中は商品が割引されるだけでなく、ポイント還元率も上がります。
一方で、セールやキャンペーンによっては、参加条件が複雑な場合があるため、注意が必要です。参加したい場合には、条件を満たしているか確認する必要があります。
Amazonを利用するメリットと注意点
Amazonを利用するメリットは、圧倒的な商品数の多さと、お急ぎ便などの充実した配送サービスです。Amazonプライム会員になれば、多くの商品で送料無料となり、最短当日配送も可能です。
注意点としては、ポイント還元率が楽天と比べて高くないことが挙げられます。また、送料を無料にするためには、プライム会員になる必要があり、別途年会費5,900円(税込)が発生するため、会員登録の前に費用対効果をよく検討し、必要性を判断することが求められます。
結局どちらを選ぶべきか?
ブランドイメージの構築や独自性を重視するなら「楽天市場」
楽天市場は、ショップページのデザインや機能を自由にカスタマイズできるため、ブランドの世界観を表現しやすいのが特徴です。独自色の強いショップページは、顧客の記憶に残りやすく、ファン化を促進する効果も期待できるでしょう。
さらに、楽天市場は独自のポイントプログラムやキャンペーンを展開することで、顧客満足度を高められます。顧客との強固な信頼関係を築くことで、ブランドイメージの向上につなげられます。
スピードを重視したいなら「Amazon」
販売スピードを重視したい場合は、Amazonを選ぶのがおすすめです。Amazonは、出品から配送までのプロセスが非常に効率化されているためです。
プライム会員向けのお急ぎ便などを活用することで、注文から短時間で商品を届けることが可能です。スピーディーな対応は、顧客満足度の向上につながります。
Amazonは日本だけでなく、世界中で認知されているプラットフォームです。出店することで幅広い顧客層にリーチできるため、ブランドの認知度向上も期待できます。
まとめ
楽天はカスタマイズの自由度が高く、ブランドイメージの構築に適していることで、独自性を強化できます。一方、Amazonは効率的な物流と迅速な配送サービスにより、販売スピードを重視したい方に向いています。どちらのプラットフォームもそれぞれの強みを活かすことで、売上の向上につなげられます。ぜひ、本記事の内容を参考にして最適なプラットフォームを選んでみてください。