定温倉庫とは?定温保管に強いおすすめの物流倉庫会社7社もご紹介
定温倉庫は、温度を一定に保つことができる倉庫です。自社に適した定温倉庫を選ぶには、各倉庫の特徴を知り、それを踏まえたうえで各社を比較検討することが大切になります。
今回は、定温倉庫のメリットやデメリットをはじめ、定温倉庫を保有しているおすすめの会社もご紹介します。定温倉庫をお探しの方はぜひ参考にしてください。
定温倉庫とは?
定温倉庫とは、10〜20℃の範囲で、温度を一定に保つことができる倉庫です。
定温倉庫は温度や湿度の変化により品質が低下する可能性がある商品の保管に適しています。穀物、ワインや日本酒、カビや結露の発生を避けたい精密機器や美術品など、多種多様な商品の保管に対応しているのも、この倉庫の特徴です。
これらの商品は定温倉庫を利用することで、商品の品質を維持でき、適切な状態で顧客に届けることが可能となります。
定温倉庫と低温倉庫の違い
定温倉庫と低温倉庫は、どちらも一定の温度で商品を保管するための倉庫ですが、その運用温度帯が異なります。
低温倉庫は10〜20℃で運用するのに対し、低温倉庫は10℃以下の「チルド帯」で商品を保管することが多いです。
対応している商品も異なり、定温倉庫は、ワインや日本酒、種苗など温度や湿度の影響を受けやすい商品に対応しています。
一方、低温倉庫は、肉類や魚介類、アイスクリームなどの低温で保管する必要がある商品の保管に適しています。
定温倉庫 | 低温倉庫 | |
---|---|---|
温度 | 10〜20℃ | 10℃以下 |
取り扱い商品 | 温度や湿度の影響を受けやすい商品(ワインや日本酒、種苗など) | 低温で保管する必要がある商品(肉類や魚介類、アイスクリームなど) |
定温倉庫での保管に適した商品とは?
温度や湿度の変化に敏感な商品は、定温倉庫での保管が最適です。ここからは、定温倉庫に適している商品を解説していきます。
ワイン、日本酒
ワインや日本酒は、温度や湿度、光の影響を受けやすい特性があります。ワインの保管温度は13~15℃、日本酒は20℃前後が適しています。ワインはコルクが乾燥しないように、湿度を70%前後に保っておく必要があります。
日本酒は、直射日光や温度の影響を受けると、色や香味が変化しやすくなるため、注意が必要です。これらの商品は、冷蔵庫では商品が冷えすぎてしまい、品質に影響が出てしまうことから、定温倉庫での保管が適しています。
野菜、種子・花苗
野菜、種子・花苗も温度の変化に敏感なため、定温倉庫で保管する必要があります。定温倉庫の中には、野菜や花の栽培を行なえる倉庫もあります。
温度や湿度を倉庫内で調整し、外気温との差をつけることで、時期をずらして出荷することも可能となります。これにより、季節に左右されず、一定の品質を維持したまま栽培を行なえます。
また、倉庫によっては、病害虫の発生を抑えることも可能で、これにより農薬の使用を減らせます。このような倉庫を選択すれば、消費者の健康にも配慮した保管が可能となります。
医薬品、化粧品
医薬品や化粧品も、温度変化によって品質に影響があることから、定温倉庫での保管が適しています。医薬品の場合、厚生労働省が発出した「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」により、品質管理や流通経路の管理手法が定められています。
化粧品も同様に、直射日光が当たらない常温の場所での使用・保管が推奨されています。そのため、これらの商品の品質を保つためにも、定温倉庫での保管が重要となります。
その他
上記の商品以外にも定温倉庫での保管が適している商品は以下の通りです。
【食品】
- カカオ
- アーモンドやピーナッツのナッツ類
- チョコレート
- 飴
- 穀類(米など)
- 粉類(小麦粉など)
- 豆類
- 飲料
- 調味料
【食品以外】
- アパレル関連
- 精密機器
- 美術品
- 医療機器
定温倉庫は、食品以外にも美術品や精密機器の保管に適しています。美術品は絵画、彫刻、陶芸など多種多様で、それぞれが特定の温度と湿度で保管することを推奨されています。
精密機器も同様で、一定の温度と湿度で保管することが求められます。カビや結露の発生により、故障を引き起こす可能性があるためです。
定温倉庫でこれらの商品を適切な環境下で保管することにより、その価値や性能を維持することが可能となります。
定温倉庫のメリット
定温倉庫には、次のようなメリットがあります。
品質や鮮度を保つことができる
定温倉庫の最大のメリットは、商品の品質や鮮度を保てることです。定温倉庫では、商品に合わせて温度と湿度を管理できるため、品質を落とさず商品を保管することができます。
美術品や医療機器などの、結露やカビの発生を避けたい商品も同様に、一定の温度と湿度により保管することで、適切な環境下で保管できます。
定温倉庫の活用により、従来は温度管理が困難だった商品も取り扱うことが可能となります。これは、販路の拡大や新たな顧客層の開拓に繋がり、ビジネスの成長を促進できる可能性が高まります。
廃棄ロスが減る
定温倉庫のメリットの一つに、廃棄ロスを削減できることが挙げられます。特に生鮮食品の場合、適切な環境下で管理すると、鮮度が落ちてしまい、必要に応じて廃棄する場合があります。定温倉庫を利用すれば、鮮度を保ちながら、長期間の保管が可能となります。
これにより、出荷時期を適切にコントロールでき、廃棄ロスの削減につなげられます。種苗のように発芽や開花の時期をコントロールする必要がある商品も、定温倉庫で適切に管理することで、生育の最適なタイミングを逃すことがなくなるため、無駄な廃棄を防ぐことができるでしょう。
定温倉庫のデメリット
一方で、低温倉庫には次のようなデメリットもあります。
コストがかかる
定温倉庫は常温の倉庫に比べて、コストがかかるというデメリットがあります。定温倉庫には、一定の温度を保つために、「冷風機」や「専用のカーテン」などの設備が必要になるためです。また、倉庫内を24時間一定の温度を保つための電気代や作業員の人件費など、継続的なコストも発生します。
以上のことから、定温倉庫の利用にはコストがかかるため、適切な在庫管理をして保管費を削減するなどの、コスト削減のための対策を摂る必要があります。
スタッフに負担がかかる
定温倉庫を委託する際のデメリットの一つとして、スタッフに負担がかかる点があります。これは、定温倉庫の管理温度が一般的に10~20℃であることから、低温の倉庫内での作業は、作業員に大きな負担がかかる可能性があるためです。
このデメリットの解決策としては、自動化技術の導入が考えられます。機械が自動的に商品のピッキングを行なうシステムを導入することで、作業員の負担を軽減し、労働環境を改善することが可能です。
定温倉庫の選び方
自社に合う定温倉庫を選択するなら、まず、自社で取り扱う商品を保管する環境が整っているかを確認しましょう。
冷風機や扉・カーテン、各種計測器の設置など、定温倉庫ならではの設備がしっかりと整っているのか把握することが重要です。合わせて、取り扱う商品を保管するための適切な温度・湿度が保たれているのかも確認するようにしましょう。
また、定温倉庫を委託する場合には、どのようなサービスに対応しているのかも合わせてチェックすることが大切です。
委託倉庫が提供している主なサービスは以下の通りです。
- 入荷検品
- ロケーション
- ピッキング
- 出荷検品
- 流通加工
- 梱包・検品
どのサービスに対応しているかは、倉庫によって異なります。定温倉庫を検討する際には、どのようなサービスに対応できる倉庫なのか、どの工程を委託するのかを事前に明確にしておき、各社を比較検討するようにしましょう。
加えて、倉庫を委託する際には、契約後も自社と綿密に連携が取れるのか確認しておくことも、失敗しない重要なポイントです。
連携がスムーズにとれると、顧客からの問い合わせ・クレームがすぐに共有され、急なトラブルにも迅速に対応できます。これらは、顧客満足度の向上にもつながるため、連携がとれる倉庫なのかも、合わせて把握するようにしましょう。
おすすめの定温倉庫7社
ここからは、おすすめの定温倉庫について解説します。
株式会社CIN GROUP(asnaro)
特徴
CIN GROUPでは商品の発注から決済、ピッキング、配送までを一元的にサポートするフルフィルメントサービスを展開しています。商品の入荷から発送までの一連の流れを迅速に処理し、高品質なロジスティクスサービスを提供します。
また同社では、温度管理が必要な商品の対応も行なっています。厳しい保管条件を必要とする商品や、商材ごとに異なる保管方法を要する商品でも、豊富な実績に基づき、取り扱いが可能です。
さらに、出荷量の大小に関わらず、柔軟に対応します。そのため、取り扱う商品が少量の場合でも受付可能です。asnaroのサービスを利用することで、商品の品質を維持しながら、効率的な物流を実現することができるでしょう。
拠点
高塚流通株式会社
特徴
高塚流通株式会社は、危険物取扱に特化した倉庫業を展開している企業です。1981年に設立され、物流業を中心に太陽光発電事業や集合住宅賃貸業なども手がけています。倉庫の特徴としては、危険物倉庫と一般倉庫の両方を併設している点が挙げられます。
さらに、定温倉庫サービスも提供しており、一定の温度で商品を保管することが可能です。加えて、品質管理や在庫管理、輸送業務のサポートなどの追加サービスも提供しています。
高塚流通株式会社は、危険物取扱に強みを持っていることから、危険物を取り扱う企業に適しています。また、同社はISO9001の国際規格も取得しており、品質マネジメントの改善活動を実施しているため、品質にこだわる企業にもおすすめです。
拠点
丸全昭和運輸株式会社
特徴
丸全昭和運輸株式会社は、1931年に設立された総合物流企業で、化学品、鉄鋼などの原料、建機、機械などの産業材の物流を得意としています。同社の倉庫は、一般倉庫と危険物倉庫を併設しており、低温設備も備えています。これにより、幅広いニーズに応えることが可能です。
また、地震対策として基礎免震構造を採用。津波対策としてO.P.7m以上を確保し、大切な商品を災害から守ります。さらに同社は、3PLの分野にも力を入れていて、ロジスティクスプロセスを一元管理し、物流を「見える化」しています。これにより、経営に不可欠なデータの蓄積・分析を行ない、物流の全体設計の策定が可能です。
これらの特徴から、丸全昭和運輸株式会社が提供する倉庫サービスは、危険物を取り扱う企業や特定の温度帯で保管する必要がある商品を取り扱う企業、物流プロセスを一元化したい企業に適しているといえます。
拠点
SBSロジコム株式会社
特徴
SBSロジコム株式会社は、SBSホールディングスのグループの一員として、関東圏・関西圏を中心に日本全国へ事業を展開している総合物流企業です。同社は、全国に広がる倉庫ネットワークを持ち、ハイスペックな最新鋭の物流施設を保有しています。
SBSの定温倉庫は、既存の常温倉庫を一部改修して定温スペースを新たに確保しています。商品の特性に合わせて、温度帯を変更するなど、柔軟な対応ができます。また同社では、グループ会社であるSBSフレックの定温倉庫機能も利用可能です。SBSフレックは食品物流を専門とする会社で、全国各地に冷凍・冷蔵倉庫を展開しています。
合わせてSBSリコーロジスティクスやSBS東芝ロジスティクスは、精密機器や医療機器などの取扱い実績が豊富です。これらの特徴から、SBSロジコム株式会社は、食品から機器まで幅広い商品の定温ニーズに対応できる企業といえます。
拠点
株式会社中央倉庫
特徴
株式会社中央倉庫は、1927年に設立された総合物流事業者で、倉庫業を中心に運送業や国際貨物取扱業など幅広く手掛けています。中央倉庫の強みは、自社所有の倉庫が多いことから安定したサービスの提供ができることです。
また、倉庫保管から荷役、品目に応じた仕分けや梱包、検品といった物流サービスを一貫して提供し、効率的なネットワークを構築しています。さらに同社では、原料から製品まで、多種多様な品目の取扱いに対応可能です。加えて、研鑽を積んだ人材を育成していることから、高品質なサービスを提供できます。
以上のことから、中央倉庫は、安定したサービスを求める企業や、多品目の取扱いが必要な企業に適している倉庫といえるでしょう。
拠点
東海海運株式会社
特徴
東海海運株式会社は、1949年に設立され、港湾運送から通関、物流倉庫、流通加工、全国配送までを一貫して行なう総合物流事業者です。東京湾を中心に、原料から製品、通販用商品、輸出品といった多様な品目を取り扱う倉庫を展開しています。
東海海運株式会社が保有する定温倉庫は、一定の範囲の温度と湿度で保管できる専用倉庫です。食物品や飲料(ワイン・日本酒)なども温湿度に影響を受けることなく、商品に合わせた環境下で保管が可能です。
さらに、同社は外食産業や量販店向けの青果物パック作業場を設け、商品の価値向上のための検品、値付け、ラベリング、印刷物封入といった付加加工も行っています。
これらの特徴から、東海海運株式会社の倉庫サービスは、青果物や食品関連商品の取り扱いがある企業に特に適しているといえます。
拠点
鴻池運輸株式会社
特徴
鴻池運輸株式会社は、1949年の設立以来、物流業界におけるリーディングカンパニーとして成長してきました。同社の強みは、食品などの鮮度や品質を維持するための厳密な温度管理を可能にする定温物流の全国ネットワークを展開していることです。
業界上位規模の冷蔵倉庫を保有し、保管から配送、流通加工に至るまでの一連の業務を、WMSやTMSなどの各種システムを用いて効率的に運用しています。また、全国14カ所に食品流通センターを設け、冷凍・冷蔵倉庫を完備。商品の保管・入出庫はもちろん、リパック・アソート・シーリングなどの流通加工業務も手がけています。
さらに、小口混載による共同配送や専用ルートを用いた店舗配送といった多様な配送網を展開しています。これらの特徴から、鴻池運輸は、厳密な温度管理が必要な商品の取り扱いがある企業や、一貫した物流サービスを求める企業に特に適しています。
拠点
まとめ
定温倉庫についてあらためてまとめると…定温倉庫は倉庫内の温度を10〜20℃の一定の温度に保てる倉庫です。定温倉庫は、温度や湿度の変化に影響を受けやすい商品の保管に適しています。
ワインや日本酒、野菜といった食品に加え、医薬品や化粧品、美術品などの商品も定温倉庫での保管が適しています。定温倉庫で保管することにより、品質を保てる、廃棄ロスが減るといったメリットがあります。
一方で、コストがかかる、スタッフに負担がかかりやすいなどのデメリットもありますので、このようなデメリットがあるということを踏まえたうえで、定温倉庫を検討するようにしましょう。