3PLとは?その意味やサービス内容、メリットなどわかりやすく解説
「物流のノウハウがない…」
「物流に割くリソースがない…」
このような悩みを抱える方におすすめなのが“3PL”です。
この記事では、3PLのサービス内容やメリット・デメリット、3PL業者を検討すべきタイミングについて解説します。
3PLに興味がある方は、ぜひご覧ください。
3PLとは何か?
3PLとは、「Third(3rd)- Party Logistics(サードパーティー・ロジスティクス)」の略で、日本語では「第三者物流」と呼ばれるサービスのことです。荷主が自社の物流業務を専門の業者に委託することを意味します。
その起源は1970年代のアメリカと言われ、当時は単なる倉庫業務や輸送業務の受託が主流でした。しかし、近年では物流ニーズの多角化や情報技術の発展により、3PLサービスは多様化。倉庫業務や輸送業務の領域を超え、荷主に対して物流改革を提案したりと、包括した物流サービスを提供するようになっています。
3PLと倉庫業の違い
では、具体的に倉庫業とは何がどう違うのか…。
繰り返しになりますが、現在の3PLは荷主の物流業務を包括的に支援するサービスです。
一方、倉庫業は商品の保管に特化したサービスです。倉庫業者は、荷主から預かった商品を安全かつ適切に保管し、出荷指示に応じて配送します。つまり、あくまで商品の保管から配送までの業務を行なうサービスなのです。
以下、3PLと倉庫業の主な違いをまとめました。
サービスの範囲 | 3PLは、商品の保管だけでなく、輸送、流通加工、情報管理など、さまざまなサービスを提供します。一方、倉庫業は、商品の保管に特化したサービスです。 |
業務内容 | 3PLは、企業の物流業務全体を支援してくれます。一方、倉庫業は基本、商品の保管から発送まで対応します。 |
付加価値 | 3PLは、物流に関する専門知識やノウハウを活かして、企業の物流課題を解決するための提案を行なってくれます。一方、倉庫業は、商品の保管というサービスに特化しているため、物流改善の提案などは優先度が低い傾向にあります(ただし、近年では物流をトータルで支援する倉庫業者も増えてきています)。 |
まとめると、3PLは倉庫業よりも広範囲なサービスを提供し、企業の物流業務全体を請け負います。また、物流に関する専門知識やノウハウを活かして、企業の物流課題を解決するための提案を実施します。一方で、倉庫業は、商品の保管に特化したサービスのため、3PLよりもサービスの範囲が狭いという特徴があります。その代わり、3PLより低コストで利用できる場合が多いです。
3PLのサービス内容
ここでは、3PLの代表的なサービス内容をご紹介します。
サービス内容 | 詳細 |
---|---|
保管 | 3PL企業は、商品の保管に必要な倉庫を保有・運用しています。商品の種類や特性に合わせて、適切な温度・湿度で保管し、在庫管理も行います。 |
流通加工 | 3PL企業は、商品の仕分け、梱包、ラベル貼り付けなどの流通加工サービスも提供しています。顧客のニーズに合わせて、さまざまな加工を行うことができます。 |
輸送 | 3PLの基本的なサービスは商品の輸送です。3PL企業は、トラックや鉄道、船舶、航空機など、さまざまな輸送手段を用いて、商品を安全かつ効率的に輸送します。 |
情報管理 | 3PL企業は、商品の出荷状況や在庫状況などの情報を管理し、荷主に提供します。近年では、IT技術を活用した高度な情報管理サービスも提供されています。 |
物流改善 | 現在の物流業務の課題をリストアップし、それを荷主に共有。課題解決のための改善案を立案し、それを遂行します。荷主の物流をより良いものにするためのサービスを提供します。 |
3PLのメリット
3PLを利用するメリットは、大きくわけて次の3つがあります。
物流コストの削減
3PL企業は、物流業務に特化したノウハウや設備を保有しています。自社物流の場合、倉庫や車両などの設備費用、スタッフの人件費、保険料、燃料費などがかかりますが、3PLを利用すれば、これらのコストがかかりません。3PL業者への委託に際して一定の費用は必要になりますが、多くの場合、自社物流より物流コストを抑えることができます。
物流サービスの品質向上
3PL企業は、専用のシステムを導入したりして、在庫切れや出荷ミスなどの削減に努めています。自社物流の場合、そうした部分を改善するのに必要なノウハウを蓄積するのに時間がかかります。3PLを利用すれば、物流に関わる業務はすべて業者が対応してくれるので、必然的に物流サービスの品質を向上させることができます。また、顧客の声を積極的に反映してくれるので、顧客満足度の向上も見込めます。
コア業務へのリソース集中
3PLを利用すると、荷主は物流業務にかかる負担を軽減できます。自社のリソースをコア業務に集中できるので、競争力を強化したり、新規事業へ投資したりすることが可能になります。
以上のように、3PLは物流コストの削減や物流サービスの品質向上、コア業務への集中など、さまざまなメリットを荷主にもたらしてくれます。
3PLのデメリット
一方で、3PLには次のようなデメリットもあります。
・情報共有の難しさ
・コントロールの難しさ
・セキュリティリスク
情報共有の難しさ
3PLを利用するときには、自社と3PL企業の間で物流に関する情報共有が欠かせません。しかし、物流の現場では荷主が3PL企業に任せっぱなしとなり、情報共有のルールを徹底せずに運用することもしばしばあります。そのような場合、情報共有が十分になされなくなり、「物流業務の非効率化」「顧客満足度の低下」「トラブルの発生」のような問題が起きやすくなります。情報共有のルールをしっかりと定め、自社・3PL企業ともにそれをきちんと守るようにすることが大切です。
物流業務のノウハウを蓄積しにくい
物流業務のノウハウを蓄積しにくくなるところも、3PLのデメリットです。3PLを利用すると、その業者のリソースを使って自社の物流を行なうことになります。基本的に自社のリソースを物流業務に割くことはないため、経験を積めず物流業務のノウハウを蓄積できません。特に将来的には自社で物流業務を行ないたい荷主にとっては大きなデメリットとなると言えます。
セキュリティリスク
第三者に物流業務を任せる以上、セキュリティリスクはつきまといます。あまり考えられませんが、物流資産の盗難や破損、情報漏洩などのリスクがあることは承知しておく必要があります。
3PLは、物流コストの削減や物流サービスの品質向上、コア業務への集中など、さまざまなメリットを企業にもたらしてくれるサービスですが、このようなデメリットがあることはあらかじめ理解しておくことが大切になります。
3PL業者を検討すべきタイミング
実際に3PL業者を検討すべきタイミングは、企業ごとの事情で大きく異なります。ですが、多くの場合、次のようなときは、3PL業者の利用を検討すべきタイミングと言えます。
物流コストを削減したいとき
前述したように、自社で物流業務を行なう場合、倉庫を用意したり、専用の設備を導入したり、人を雇ったりと、さまざまなコストがかかります。これらのコストを削減したいとき、3PL業者への委託が最適です。もし、自社の物流業務にかかるコストが経営上の課題となっている場合は、3PL業者の利用を検討してみるとよいです。また、現在委託している3PL業者の料金を抑えたいときも、別の3PL企業を検討するのがおすすめです。そうすることで、委託にかかるコストを削減できる可能性があります。
物流サービスの品質を上げたいとき
3PL企業は、物流のプロフェッショナルです。自社では用意できない設備やシステムを導入していたり、豊富な経験・ノウハウを保有していたりするため、自社物流より品質の良い物流サービスを提供しやすくなります、また、自社では考えつかない施策によって、課題を解決に導いてくれたりすることもあります。たとえば、顧客満足度を向上させるうえで、自社の物流サービスの品質が課題となっている場合は、3PL企業の利用を考えるとよいです。
ほかの業務にリソースを集中したいとき
売上をあげるためには、営業活動やマーケティング活動が重要になります。自社の物流業務にリソースを割いていて、それらの業務に人員や予算を十分に投下できていない場合、売上が伸び悩んだりする可能性が出てきます。そうしたリスクを避けるために営業活動やマーケティング活動に注力する際も、3PL企業を検討すべきタイミングと言えます。もし、売上を伸ばしていくうえで、物流業務がコア業務の障壁となっている場合は、3PL業者の利用を考えてみてください。
3PL業者を選ぶ際の注意点
3PL業者を検討する際には、自社の物流業務の課題を明確にし、3PL業者がその課題を解決してくれるかどうかを検討することが重要です。また、3PL業者を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
・物流業務の経験
・今までの実績
・保有しているノウハウと技術
・料金
下記の記事では、3PL業者の選び方に加えて、おすすめの3PL業者をご紹介しています。3PL業者への委託を検討している方は、あわせてご覧になることをおすすめします。
まとめ
3PLは、荷主の物流に関わる業務を徹底サポートしてくれます。3PL業者に委託することで、よりよい物流サービスを提供できるようになります。自社の物流に課題をお持ちの方は、ぜひ3PLサービスの利用を考えてみてはいかがでしょうか。