売上を伸ばすECサイトのマーケティング戦略とは?集客からリピート獲得まで徹底解説
ECサイトを立ち上げたものの、思うように売上が伸びず悩んでいませんか。
実店舗と異なり、オンラインショップでは「つくれば売れる」ときは終わり、戦略的な集客と接客が欠かせません。ECサイトのマーケティングの本質は、ユーザーとの接点をつくり、購買意欲を高めてファン化する一連のプロセスにあります。
この記事では、集客不足の原因と具体的な解決方法を解説します。読み終えたときには、自社に合った集客施策を選び、すぐに実践できるようになるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
目次
ECサイトのマーケティングとは?まず知っておくべき基礎知識

ECマーケティングを成功させるには、まずその定義と従来の店舗販売との違いを正しく理解することが大切です。ここでは、基本となる考え方と売上の方程式について解説します。
ECマーケティングの定義
ECマーケティングとは、オンラインショップにおける売上最大化を目的とした体系的なアプローチのことです。単に商品をサイトに並べるだけでなく、Web広告やSNS、SEOなどを駆使して顧客を呼び込み、サイト内での購買体験を最適化するすべての工程を指します。
近年、EC市場は急速に拡大しています。2025年8月に公表された経済産業省の調査によると、日本のEC市場規模は26.1兆円を超えています。その中でも、物販系分野のEC化率は9.78%と右肩上がりで成長を続けています。
とくにコロナ禍以降、以前のような「目的を持って検索して買う」行動に加え、InstagramやTikTokなどのSNSでの発見や、動画視聴を通じた衝動買いが増加しています。
従来のマーケティングとの3つの違い
ECサイトのマーケティングには、実店舗での従来のマーケティングにはない3つの大きな特徴があります。
全世界が商圏
店舗を持たないオンラインショップは、地域的な制限がなく、日本全国が商圏になります。また、日本だけにとどまらず、国境を越えて通信販売を行なう「越境EC」を通じて、世界中のユーザーへアプローチできるようになりました。
物理的な距離に関わらず、適切な配送網を整えることで、潜在的な顧客層を飛躍的に広げられる点はECならではの強みです。
24時間365日のオンライン接客
実店舗と違い、ECサイトには営業時間の概念がなく、深夜や休日も常に稼働し続けます。チャットボットやFAQを整えておけば、スタッフが不在の時間帯でも接客の自動化が可能です。
対面販売のような人的コストを抑えつつ、機会損失を最小限にできるのは大きな利点です。ユーザーが「欲しい」と思った瞬間に疑問を自己解決できる環境そのものが、サイトの信頼性を支える基盤となります。
詳細なデータ分析が可能
ECサイトでは、いつ誰がどの商品を購入したかだけでなく、サイト内の回遊状況も可視化できます。購買・行動データをリアルタイムで分析し、施策の効果をすぐに測定できるため、根拠に基づいた高速な改善が可能です。
たとえば、特定の広告から流入したユーザーがどのページで離脱したかを把握し、即座に導線を修正するといった実務的な対応ができます。
ECサイトの売上を決める方程式
ECサイトの売上は、以下のシンプルな方程式で決まります。
売上を伸ばすとき、多くの担当者が訪問者数ばかりに目を向けがちですが、CVRや客単価の改善のほうが利益率を高めやすいときもあります。
たとえば、訪問者が1万人でCVRが1%なら購入者は100人ですが、CVRを2%に上げるだけで売上は2倍になります。自社サイトがいま、どのフェーズにあり、どの指標を優先して改善すべきかを見極めなければなりません。
まずはこの4つの要素に分解して、ボトルネックとなっている箇所を特定することから始めましょう。
ECサイトで売上を伸ばす3つのステップ

売上を最大化するためには、集客から購入、そしてリピートへとつなげる流れを分解して考える必要があります。ここでは、売り上げを伸ばす上で意識すべき3つのステップについて見ていきましょう。
ステップ①:集客(新規顧客の獲得)
まずは、質の高いユーザーをサイトに呼び込むことが最初のステップです。単にアクセス数を増やすだけでなく、自社の商品に興味を持つ可能性が高い層をターゲットにする必要があります。重要となるKPIは「訪問者数」や「流入経路別のCV率」です。
ECサイトの集客施策は、大きく「有料施策」と「無料施策」の2つに分けられます。
- ① 即効性の「有料施策」(リスティング広告・SNS広告など)
- お金を払ってアクセスを「買う」方法です。開始したその日からターゲットを呼び込める即効性が強みですが、広告を止めると集客も止まるため、継続的な予算管理が求められます。
- ② 資産性の「無料施策」(SEO・SNS運用など)
- 時間と手間をかけてファンを「育てる」方法です。成果が出るまで時間はかかりますが、一度軌道に乗れば広告費をかけずに集客し続ける「自社の資産」になります。
予算とリソースのバランスを考えながら、これらを組みあわせて運用していくことが求められます。ターゲットが普段どの媒体を使っているかを把握するところから始め、最適なチャネルを選定しましょう。
ステップ②:CVR改善(購入率の向上)
サイトに訪れたユーザーを、いかにスムーズに購入完了まで導くかがCVR改善のポイントです。主な役割は「訪問者を購入者に転換すること」であり、重要となるKPIは「CVR(購入率)」と「カゴ落ち率」の2点です。EC業界のCVRベンチマークは一般的に1〜3%程度といわれていますが、商材や価格帯によって大きな差があります。
CVRの改善にあたっては、まず「離脱ポイント」を特定することが欠かせません。アクセス解析ツールを用いて、商品一覧から詳細ページへの遷移率や、カートから決済完了までの離脱率を数値化しましょう。
とくにカートに商品を入れたままサイトを去る「カゴ落ち」は、購入意欲が最も高い層を逃している状態です。決済手段の拡充や入力フォームの簡略化など、ユーザーがストレスなく買い物できる環境を整えることで、最終的な売上を大きく左右する成果につながります。
ステップ③:リピーター施策(LTV最大化)
新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストより5倍かかるといわれています。そのため、一度購入した顧客に何度も利用してもらう「LTV(顧客生涯価値)」を高めることが売り上げに直結します。
重要なKPIとしては「リピート率」や「F2転換率(2回目購入率)」も追っていく必要があります。パレートの法則によれば、売上の8割は上位2割の顧客から生まれるといわれています。
メールマガジンやLINEでの継続的なコミュニケーション、ポイント制度などを通じて、顧客との関係性を深める仕組みをつくることが第一歩です。一度きりの縁で終わらせないための、ファンづくりの設計を行ないましょう。
【集客編】ECサイトへの流入を増やす施策

ECサイトの売上をつくる第一歩はサイトへの流入を増やすための「集客」です。数ある施策のなかから、自社の商材やフェーズに合ったものを選ぶためのポイントを解説します。
リスティング広告(検索連動型広告)
GoogleやYahoo!で検索したときに表示されるリスティング広告は、購買意欲の高いユーザーへダイレクトにアプローチできる手法です。特定の悩みや商品名で検索している層を狙うため、即効性が高く、短期間で売上を伸ばしたいときに有効です。
成果を出すには、適切なキーワード選定と広告文の作成、そして品質スコアの向上が欠かせません。ただし、利益率が低い商品の場合、クリック単価が高騰すると採算が合いにくくなるため、CPA(獲得単価)を厳密に管理するようにしましょう。
SEO・コンテンツマーケティング
検索エンジンの自然検索結果で上位表示を狙うSEOは、長期的に見て費用対効果の良い施策です。商品ページの見出しや説明文に、ユーザーが検索するワードを自然に盛り込む最適化から始めましょう。
また、ブログ記事などでユーザーの悩みや役立つ情報を発信することで、潜在層との接点をつくれます。時間はかかりますが、一度上位に入れば安定した流入を生む資産になります。競合分析を行ない、独自の視点を含めた良質なコンテンツを積み重ねていくことが、ECサイトに限らず、Webマーケティングの王道とも言える方法です。
ショッピング広告
検索結果に商品画像と価格を表示できるショッピング広告は、視覚的な訴求力が高い広告です。テキストのみの広告に比べてクリック率が高く、購入意欲の高いユーザーを効率的に集められます。
運用のコツは、データフィードと呼ばれる商品情報を常に最新の状態に保つことです。適切な商品タイトルやカテゴリ設定を行なうことで、表示回数を増やせます。
また、Googleの無料リスティング枠を活用すれば、広告費をかけずに露出を増やすこともできます。掲載をするためにGoogleの審査はありますが、必ず設定しておくべき機能の一つです。
SNS広告・SNS運用
InstagramやX、TikTokなどのSNSは、ビジュアルで商品をアピールするのに適しています。SNS広告は、ユーザーの興味関心に基づいた詳細なターゲティングができるため、まだ自社を知らない潜在層への認知拡大に強みを持ちます。
一方で、日々のSNS運用ではフォロワーとの信頼関係を築くために、フォロワーの求めている情報を継続して投稿することが求められます。インフルエンサーを活用した紹介やライブコマースなども、今のECトレンドでは欠かせません。商材のターゲット層がどのSNSをメインに使っているかを見極め、それぞれの媒体特性に合わせた発信を行ないましょう。
それぞれの媒体の特徴・得意分野、ECでの主な役割を表にまとめました。
| 媒体 | 主な特徴・得意分野 | ECでの主な役割 |
| 「好き」と「欲しい」をつくる。20〜40代女性に強い。 | ブランディング、世界観の醸成、ショッピング機能での直接販売。 | |
| X (旧Twitter) | リアルタイム性と拡散性が随一。全世代が利用。 | 認知拡大、キャンペーンの拡散、ユーザーとの気軽な交流。 |
| TikTok | 10〜20代への圧倒的リーチ。動画の視聴完了率が高い。 | 若年層への認知、トレンドの創出、衝動買いの誘発。 |
| LINE | 全世代が利用する「生活インフラ」。開封率が高い。 | 既存顧客へのリピート促進、クーポン配布、カスタマーサポート。 |
| 実名登録による高いターゲティング精度。30〜50代。 | 高単価商品の広告、BtoB商材、特定のコミュニティへの訴求。 |
ディスプレイ広告・リマーケティング
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠にバナーや動画を表示する手法です。広い範囲のユーザーへ視覚的に訴求できるため、新商品の認知拡大やブランドイメージの浸透に大きな効果を発揮します。
この仕組みを活用し、さらに精度を高めたのがリマーケティングです。サイトに一度訪れたユーザーに対し、別のサイトを閲覧しているときに広告を再表示します。ECサイトでは「あとで購入しよう」と離脱した層が多いため、この再アプローチによって検討中のユーザーを呼び戻し、CVRを高めることができます。
成果を出すには、行動にあわせたセグメント別配信が欠かせません。「カート投入後に離脱した人」には限定クーポンを出し、「商品詳細を見ただけの人」には人気ランキングを出すなど、興味の度合いで出し分けることで集客効率が上がります。ABテストによるデザイン最適化や、不快感を与えないための配信頻度の調整を行なうことが、効果を最大化する近道です。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、成果が発生したときにのみ費用を支払う「成果報酬型」の仕組みです。購入や申し込みなどの成果に対して報酬を支払うため、広告費が無駄になりにくく、リスクを低く抑えて集客できるメリットがあります。
アフィリエイト広告では、ASPの選定と報酬設計が鍵となります。自社の利益率から逆算し、競合他社と比較して魅力的な単価を設定することで、有力なアフィリエイターに紹介してもらえる確率が高まります。
また、運用の際はコンプライアンス遵守が不可欠です。薬機法や景品表示法への対応はもちろん、2023年10月から施行された「ステマ規制」への注意が欠かせません。広告であることを隠して紹介してもらう行為は厳禁です。
アフィリエイターに対して適切な表示ルールを周知し、不適切な掲載が行なわれていないか定期的に確認を行なうことが、ブランドを守る上で重要となります。
動画広告
動画広告は、情報の伝達力が非常に高い手法です。静止画では伝えきれない商品の質感、実際のサイズ感、使い心地を数秒で直感的に理解してもらうことができます。
視覚的インパクトが強く、ユーザーの記憶に残りやすいため、認知拡大に大きな効果を発揮します。媒体ごとに特徴があり、YouTubeは詳細な説明、TikTokはトレンド感、Instagramは世界観の醸成に向いています。
制作のコツは、最初の3秒でユーザーの心を掴む構成にすることです。結論やベネフィットを冒頭に配置し、視聴者の手を止めましょう。また、スマホでの視聴を前提とした縦型レイアウトや、音を出さなくても内容がわかる字幕(テロップ)の挿入も不可欠です。
【CVR改善編】購入率を高める施策

サイトに訪れたユーザーを逃さず購入につなげるためには、店舗での接客にあたる工夫が必要です。UXを高め、迷わせない導線を設計しましょう。
ランディングページ最適化(LPO)
LPにおいて、ユーザーがページを読み進めるか判断する「3秒ルール」の壁を突破するには、ファーストビューの改善が最優先です。ベネフィットが伝わるキャッチコピーと、迷わせないCTAボタン(購入・登録ボタン)を配置しましょう。
改善を回す際は、ヒートマップツールを活用してクリック箇所やスクロール到達率、離脱ポイントを可視化し、数値の低い箇所からABテストを実施します。テスト期間は十分なサンプルが貯まるまで継続し、根拠に基づいた判断を行ないましょう。一つひとつの要素を最適化していくことで、広告費を変えずにCVRを劇的に向上させることが可能になります。
カート・購入フローの改善
カート離脱率70%を改善するには、入力項目の削減が最も効果的です。会員登録を必須とせず、名前と住所だけで注文できる「ゲスト購入」の導線を整えましょう。
いま全体のどの段階にいるかを示す「進捗表示」の導入も欠かせません。また、入力エラーをその場でリアルタイムに表示するなどの配慮が、ユーザーのストレスを軽減します。自社での改修が難しいときは、EFOツールの活用を検討してください。入力サポート機能を充実させることも、CVRを底上げするための現実的な選択肢となります。
カゴ落ち対策
ECサイトでカートに商品を入れたまま離脱する「カゴ落ち」は、平均で約7割も発生しています。
主な理由としては、
- 送料などの想定外のコストがかかる
- 希望する決済方法がない
- 強制的に会員登録させられる
- 他サイトと比較・検討したい
です。
対策として、離脱から数時間〜24時間以内の「カゴ落ちメール」配信が効果的です。買い忘れをリマインドする文面に加え、期間限定クーポンを添えることで強力な購入の後押しになります。
また、送料無料ラインを明確に設定することも大切です。ユーザーが離脱しそうな瞬間に、ポップアップで特典を表示するなどの工夫を行ないましょう。
決済手段の多様化
ユーザーが購入をためらう理由の一つに、希望の決済手段がないことが挙げられます。特にAmazon Payや楽天ペイなどのID決済は、CVR向上に劇的な効果を発揮します。
こういったID決済は、プラットフォームに登録済みの配送先やカード情報をそのまま引き継ぐ仕組みがあります。初めてのサイトでも住所入力や会員登録をスキップできるため、カゴ落ちを防ぐことができます。導入後に購入率が数ポイント改善した実績も多く、最優先で検討すべき項目です。
また、ターゲットにあわせて選択肢を用意することも有効です。クレジットカードを持たない層には後払い決済、スマホ中心の層にはPayPayなどのスマホ決済が有効です。一方で、高年齢層には代金引換、BtoB利用には銀行振込が好まれます。
商品ページの最適化
商品ページは、実店舗でいうところの「接客」の場です。写真は1枚だけでなく、さまざまな角度からのカットやサイズ感がわかる写真を5〜10枚用意しましょう。ズーム機能を活用すれば、実物を確認できない不安を解消することができます。
商品説明文はスペックの羅列ではなく、その商品を使うことで得られるベネフィットを伝えることがポイントです。箇条書きやストーリー性を持たせた表現を用いると、より効果的に魅力が伝わります。
また、使用シーンや開封時の様子を伝える動画コンテンツの活用も有効です。ユーザーが抱く疑問を、このページだけで解消できる情報密度を目指しましょう。
レビュー・口コミの活用
第三者の評価は、直接的な宣伝よりも信頼される「ウィンザー効果」を生み、売上に大きく影響を与えます。購入後のフォローメールや、次回使えるクーポンの進呈など、自然にレビューが集まる仕組みを整えましょう。
また、2023年10月施行のステマ規制への厳格な対応が必須です。インセンティブを提供した場合は、広告である旨を明記してもらう必要があります。また、ネガティブな投稿にも真摯に返信を行なうことで、ショップへの信頼性を高めることが可能です。
レコメンド機能の導入
レコメンドは、ユーザーの行動から最適な商品を提案する仕組みです。これには、他者の行動を分析する「協調フィルタリング」や、商品の特徴から探す「コンテンツベース」などの手法があります。これらを組み合わせることで、精度の高い提案が可能になります。
単価を上げる「アップセル」や、合わせ買いを促す「クロスセル」は、売上アップに不可欠な施策です。「この商品を買った人はこちらも」といった表示は、客単価を高める強力な武器になります。
関連商品の表示件数は、4〜6件がおすすめです。選択肢が多すぎるとユーザーに迷いを生ませてしまうため、適切なタイミングで提案を行なうことが、最終的な売上を左右します。
UI/UX・スマホ最適化
ECサイトの多くはモバイルから閲覧されるため、スマートフォンでの使い心地が売上を左右します。ボタンはタップしやすいサイズに調整し、親指だけで主要な操作が完結するレイアウトを目指しましょう。
サイトの表示速度も重要な指標です。サイトの読み込みが遅いと、ユーザーの離脱率は急増します。画像の圧縮やCDNの活用により、ページの軽量化を目指しましょう。改善の際は、PageSpeed Insightsなどのツールを使用し、定期的に表示速度を測定し、影響の大きいところから改善することがおすすめです。
また、目当ての商品にすぐ辿り着ける検索機能や、絞り込みフィルターを充実させることも、ストレスのない購買体験には不可欠です。
【リピーター施策編】LTVを最大化する方法

新規獲得だけでなく、既存の顧客に長く愛されるブランドになるための施策を解説します。リピート購入のループをつくりましょう。
メールマガジン・MA活用
顧客一人ひとりに最適な情報を届けるには、セグメント配信の設計が不可欠です。購買履歴や興味関心、RFM分析(最終購入日・頻度・金額)に基づき、送る内容を使い分けましょう。
開封率を上げるには、件名の工夫が欠かせません。数字を入れたり、「残りわずか」といった緊急性を出したり、名前を入れるパーソナライズが効果的です。また、MAツールを活用すれば、購入後のフォローアップを自動化できます。顧客の行動にあわせた適切なシナリオ設計が、長期的なリピート率向上につながります。
LINE公式アカウント運用
LINEは開封率が60〜80%と非常に高く、顧客と密な接点を持てるのが強みです。友だち登録を増やすには、限定クーポンなどの登録特典を用意しましょう。店頭でのQRコード掲示や、LINE広告の活用も効果的です。
リッチメニューを適切に設計すれば、ショップページへ直感的に誘導できます。また、MA同様にステップ配信を活用し、登録直後からファン化を狙いましょう。発送通知や入荷通知といった利便性の高いメッセージを届けることで、ブロックを防ぎつつリピート購入を促せます。
会員特典・ポイントプログラム
ポイント還元率は、業界平均である1〜5%を一つの目安にしましょう。ただし、一律に決めるのではなく、自社の利益率から逆算して無理のない範囲で設定することが大切です。会員ランク制度は、累計購入金額などの条件を明確にし、上位ほどポイント率を上げるなどの特典で差別化を図ります。
また、ポイントには有効期限を設け、失効前のリマインドで再来店を促す工夫が有効です。誕生月特典や初回購入特典といった、特別感を演出する仕組みもリピーター育成には欠かせません。顧客の愛着(ロイヤリティ)を高める設計が、LTVを最大化する鍵となります。
クーポン・キャンペーン施策
クーポンは、初回購入後やカゴ落ち時、誕生月など、ユーザーの心が動くタイミングで配布しましょう。長い間購入のない顧客には再訪問のきっかけとして、特典を用意するのも有効です。
施策に応じて、クーポンも割引、送料無料、ノベルティ配布などの種類を使い分けます。
- ① 割引クーポン
- 在庫処分や、新規顧客にまず一回買ってもらう
- ② 送料無料クーポン
- あと数百円で送料無料ラインに届かない層の離脱を防ぐ
- ③ ノベルティクーポン
- ブランドの価値を下げずに、今買う理由をつくる
また、季節や周年イベント、タイムセールを企画する際は、集客だけでなく利益の確保も忘れてはいけません。事前に全体の粗利率を計算し、目標とする利益を残せる範囲で設計を行なうことが、持続可能な店舗運営には不可欠です。
ECアプリ化
アプリは、開封率が10〜40%と高い「プッシュ通知」をタイムリーに送れる点が最大のメリットです。メルマガよりも埋もれにくく、再来店を強力に促せます。
自社開発が難しい場合は、Yappliなどの「ノーコードツール」を活用しましょう。月額10万円程度から導入でき、開発コストを抑えられます。
導入の目安は、投資回収が見込める「月商500万円以上」が一般的です。アプリ限定クーポンや先行販売などの特典を用意し、Webからアプリへの移行(DL促進)を戦略的に進めることが成功の近道となります。
Web接客ツール・チャットボット
Web接客では、ユーザーの状況に合わせてツールを使い分けるのがオススメです。
KARTEやSprocketは、サイト内での行動を最適化する際に役立ちます。訪問回数や滞在時間に応じたシナリオを設計し、レコメンドやカゴ落ち防止ポップアップを表示することで、購入を直接的に後押しできます。
一方で、問い合わせ対応をスムーズにするならZendeskなどが便利です。チャットボットによる自動応答や有人チャットにより、リアルタイムで疑問を解消し、ユーザーの不安をその場で取り除くことが可能です。
効果測定と改善のPDCAサイクル

マーケティング施策は、実施して終わりではありません。数値を見て改善を繰り返すPDCAサイクルを回していくことで、はじめて大きな成果につながります。ここでは、効果を測り、改善していくためのポイントを紹介します。
必須の分析ツール
サイトの現状を正しく把握するために、以下のツールを組み合わせて活用するのがオススメです。
- ① Google Analytics(GA4)
- コンバージョン設定を行ない、ユーザーがどこから来て、どのページで商品を購入したかを分析します。
- ② Googleサーチコンソール
- 検索クエリ(キーワード)ごとの表示回数やクリック率(CTR)を確認し、SEO対策に役立てます。
- ③ ヒートマップ(Microsoft Clarityなど)
- クリック位置やスクロール到達点を視覚化します。録画機能(セッションレコーディング)でユーザーの迷いを特定するのも有効です。
- ④ 広告効果測定ツール
- 媒体ごとのROAS(広告費用対効果)を計算し、予算配分の最適化を図ります。
重要なKPIと目標設定
ECサイトの成長を支える主要な指標は、以下の5つです。
- ① 訪問者数(アクセス数):サイトを訪れた人数
- ② CVR(購入率):訪問者のうち、実際に購入した人の割合
- CVR = 購入件数 ÷ 訪問者数 × 100
- ③ 客単価:1回の注文あたりの平均購入金額
- 客単価 = 売上高 ÷ 購入件数
- ④ リピート率:購入者のうち、2回以上購入した人の割合
- リピート率 = リピーター数 ÷ 累計購入者数 × 100
- ⑤ LTV(顧客生涯価値):一人の顧客が、取引期間を通じて生涯もたらす利益
- LTV = 客単価 × 購入頻度 × 継続期間
あわせて、一人の顧客を獲得するコスト(CAC)が、生む利益(LTV)を上回らないように管理するのがオススメです。アパレルや食品など業界ごとのCVRベンチマークを参考に、現実的な目標を立てましょう。
| 業界 | 平均CVR |
| ギフト / 健康・医薬品 | 4.9% |
| アパレル | 4.2% |
| スポーツ用品 | 3.1% |
| ジュエリー、化粧品 | 2.9% |
| 大手チェーン / インテリア | 2.3% |
| 自動車 | 2.2% |
| 日用雑貨、大手用品 | 1.7% |
| 家電 | 1.4% |
データから改善アクションへ
サイトの弱点を見つけ出すには、「点」ではなく「線」でユーザーの動きを追う思考が大切です。
まずは、商品ページやトップページでの「直帰率」に注目しましょう。ここが高い場合、広告や検索結果で抱いた期待と、実際のページ内容がズレている可能性があります。
次に、カートから購入完了までの「遷移率(ファネル)」を確認します。特定のステップで急激に人数が減っていれば、そこが最大のボトルネックです。入力フォームが使いにくい、送料が想定より高かったなど、明確な原因が隠れているはずです。
改善の優先順位を付ける際は、「売上へのインパクト」と「実行のしやすさ」で整理します。数値だけでは判断しにくい場合は、ヒートマップでユーザーの迷いを視覚的に確認したり、ABテストで正解を探ったりするのがおすすめです。
週次・月次でこのサイクルを回し、施策が数値にどう響いたかを検証し続けることが、確実な成果への近道となります。
まとめ

ECサイトの売上は「訪問者数×購入率×客単価×リピート率」の掛け合わせで決まります。まずは自社のボトルネックがどこにあるかをデータで特定しましょう。
集客からリピート獲得まで、各フェーズで適切なツールや施策を組み合わせるのが成功の近道です。一度にすべてを行なうのではなく、インパクトの大きい箇所からPDCAを回し、顧客に選ばれ続ける「おもてなし」と「仕組み」を構築していきましょう。
ECサイトマーケティングに関するよくある質問
Q1. ECサイトを始めたばかりですが、まず何から手をつけるべきですか?
A. 現状把握とターゲット選定を行ない、集客・接客・リピートのどこに課題があるか見極めましょう。初期はSNS運用での認知拡大や、決済手段の拡充による購入障壁の緩和が最適です。
Q2. 広告費をかけずに集客する方法はありますか?
A. SNSやSEOで役立つ情報を発信し、無料の集客資産を育てましょう。即効性はないため、最初は少額広告でデータを補い、徐々に無料集客へシフトする形が最も現実的です。
Q3. リピート率がなかなか上がりません。どうすれば良いですか?
A. 購入後のステップメールやLINEで定期的に接点を持ちましょう。次回使えるクーポンやポイント制度、誕生月特典などの「再訪する理由」を設計し、顧客の愛着を高めるのが有効です。
Q4. スマートフォン対策で最も優先すべきことは何ですか?
A. 読み込み速度の改善と、親指だけで完結する操作性の確保が最優先です。入力の手間を省く「Amazon Pay」等のID決済導入も、カゴ落ち防止に非常に高い効果を発揮します。
Q5. ツールが多すぎて何を選べばいいかわかりません。
A. まずは「集客・接客・追客」のどこが最大の壁か特定しましょう。多機能な高額ツールを避けて、まずは無料や低コストで始められるGoogleアナリティクスなどのツールから段階的に導入するのがオススメです。



